『25歳からの国会 - 武器としての議会政治入門』を発売します!
まえがきに代えて
7/20に現代書館さんから新刊「25歳からの国会 - 武器としての議会政治入門」を発売することになりました!
早速予約してくれるという方はこちら↓
(Kindle版あります!)
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どんな本か
「25歳からの国会」というタイトルですが、そもそも議会制民主主義とはなにか、国会はどういう仕組で動いているかという点について、可能な限りフラットに解説した本になります。
特定の政党や特定の候補者には極力触れず、「なぜ審議拒否が起こるのか」「予算委員会で予算の話をしないのはなぜか」「女性議員が少ないのはなぜか」など、よく政治に関して質問される内容について答え、疑問を解消する内容になっています。
そもそも国会に焦点を合わせた書籍自体が珍しいものですが、この種の本として「長く残る」ことに注力して、短期で古びないよう徹底的に校正しました。
国会を見る上で、あるいは選挙を考える上で、必ず役に立つ一冊になっていると思います。
なぜ全文公開を行うか
(7月20日に終了しました)
出版社に無理を言ってお願いしました。
この決断にはコロナ禍も無縁ではありません。緊急事態宣言などの関係で、書店が開いているかもわからない状況が続き、開いていても外に出るのに抵抗を感じる、ということもあるでしょう。
そもそも、超人気作家の新刊というわけでもないので、気軽にお近くの書店で……というわけにもいきません(多分置いてない)。
ネットで買っていただく上で、やはりある程度内容を読んでもらわずに買ってもらうとどうしても「応援」的要素が強くなってしまいます(嬉しいのですが)。
本はそもそも立ち読みして、内容を読んで買っていただくものです。全文読んでいただいてもいいですし、ある程度読んで内容を把握して、本で読んでみたいという方がいればぜひ書籍版でお楽しみいただければと思います。
読んでみて、良いと思っていただいた方へ
もし読んでみて面白かったら少しだけご協力いただけると嬉しいです。
①面白かった!でも、今はお金に余裕がない!という方
よかったら Twitter など、SNS で拡散にお力添えいただけると助かります。
②買ってもいいよ!という方
重複ですが、下記のリンクから予約していただけると嬉しいです。
Amazon以外はこちら↓
最後に、本の宣伝
素敵なデザイナーの方に恵まれ、かなり徹底的に読みやすくなるよう工夫し、素敵な本になったと思います。値段に見合うくらいの時間はかけています。
私、ほとんど有料で記事を読んでもらうということがないので、一生に一度とまでは言いませんが……笑、めったにしないお願いです。
読んでみて面白かったらぜひ、一冊!
#国会流行語大賞2020 投票結果を発表します!(※結果発表という認識ではない)
皆様、「#国会流行語大賞2020」にご参加いただきありがとうございました!
なんとなんと、958票もの投票をいただきました。趣旨に批判的なコメントを除いても、おそらく900票を超える投票となります。
たくさんの方にご参加いただきましたことに感謝いたします。
それでは、おまたせしてしまいましたが、結果発表となります!
結果発表
第5位(39票)「女性はいくらでもうそをつける」(杉田水脈衆院議員)
杉田水脈衆院議員の発言が5位となりました。これまで度々女性差別・民族差別的な発言などで批判を浴びてきた杉田衆院議員ですが、今回の発言は当初「言っていない」などと発言した後、正式に謝罪することなくブログで「どうやら言っていたようだ」と軌道修正するなどちぐはぐなものが目立ちました。
杉田水脈議員は自民党の比例選出議員であり、このような発言を繰り返してきた議員を「党の代表」として選んだ自民党の体質も問題とされています。
また、女性議員がまだまだ少ない日本の議会において「女性を批判する女性」の役割を負わされているのではないか、という構造的な問題も指摘されました。
頂いたコメント(一部)
- 緊急事態下における国民やマイノリティを力づけようとする野党議員の名言も少なくない年でしたが、それを上回る勢いで与党議員の迷言が悪い意味で全ての感情をさらっていったのがとても残念です。
- 自民党のミソジニーを再確認させてくれた酷い言葉でした。。。
- この方には誰も勝てない。自民党がこの方を優遇するのが信じられない。自民党の体質を表すこの言葉で。
- 流行語といいますか、話題にもなり、風化させてはならないフレーズだと思ったので杉田水脈氏の発言に投票したいと思います。
第4位(53票)「国会会議録というのは、国会と国民に示された条文解釈そのものです」(田村智子共産党政策委員長)
共産党田村智子議員の発言が、国会クラスタの熱い支持を受けて4位となりました。この答弁は、日本学術会議問題に伴う政府答弁に対して、吐露するように述べられたものです。
政府は中曽根総理が「任命は形式的なもの」と度々述べていたにもかかわらず「必ずそうしなければならないものではない」とという答弁を繰り返す政府は、国会という機関を破壊しているも同然です。
これまで様々な形で不適切な国会との向き合い方が取り上げられてきましたが、日本学術会議法に係る対応は「過去の答弁との整合性を無視する」という点で罪深く、その点も考慮して、多くの方が投票されたのではないでしょうか。
頂いたコメント(一部)
- 「議会」の本質をワンフレーズに!この間延々と軽くなり続けてきた「言葉」と「論理」を取り戻すような、とても倫理的な言葉に、背筋が伸びました。
- まだ国会の存在意義を信じたくなる発言でした。答弁作成に関わったことがある身として、心に刻みたい。
- 「議事録・記録の意味」を簡潔に示した名言
- 安倍さんの珍発言に投票したくなる気持ちはありますが、数々のどうしようもない発言ばかりの中で立法府における議論の価値を高らかに掲げる田村智子さんの言葉に一票を投じたいと思います
- ひとつに決められなく。。すごく迷いましたが、田村智子さんの名言に投じました。 議場が汚されていくの見てて辛いです😢
- 法制局ふくめた政府の詭弁にくさびを打つこの締めくくりの一言、痺れました。
- 迷言、珍言を投票すべきかとも思いましたが、まともな言葉が2020国会にもあったのだということを覚えていたいので、投票します。
第3位(56票)「意味のない質問だよ」(安倍晋三前総理大臣)
首相が自席からつぶやいた野次が3位となりました。
辻元清美さんの質疑の中で「鯛は頭から腐る」という発言に激高してこのヤジとなったようで、その後の質疑でも「罵詈雑言を浴びせられた」などとヒートアップ。
しかし、「鯛は頭から腐る」自体は単なる格言であり、その前の辻元さんの質疑も論理的なものだったため、何に対して激高したのかは未だによくわかりません。
ともあれ、安倍総理の国会軽視、議会運営の拙さが明白になった言葉ではなかったかと思います。
ちなみに、「鯛は頭から腐る」は27票入っていました。足すと2位になります。
頂いたコメント(一部)
- レベル高すぎて選ぶの難しいです!その中でも、立場上言ってはいかん性質のもので頂点を極めてしまった「意味のない質問」に1票いれました。
- 質疑を軽視する(当時)現職の総理大臣のこの発言に思わず失笑してしまいました。
- ずいぶん迷いましたが、流行語ということで「意味のない質問だよ」(安倍晋三前総理大臣)」を選びました。名言として辻元さんの鯛の頭も選びたかった。
- 前政権の国会軽視の姿勢を象徴する発言ということで、これにしました。
- こうやってリストアップされると安倍前総理の国会における存在感の大きさを感じずにはいられません。
- 意味が有るから質問しているのでは?これが出たら議論にならない。
- 「意味のない答弁だよ」と言ってあげたいですね。
第2位(78票)「例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものではありません」(安倍晋三前総理大臣)
安倍総理といえば「一言で言えば責任」という言葉を思い浮かべる方も多いと思います。第二次政権でも度々「責任」という言葉を口にし、説明責任や結果責任を取る、とお話されてきました。
ところが、ことコロナ対策について問われれば「責任を取ればいいものではない」とのご発言。あれほど口にしていた安倍総理にとっての「責任」とは何だったのか、考えさせられます。安倍総理の政治姿勢を象徴し、堂々の2位ランクインです。
頂いたコメント(一部)
- 一国の"総理大臣"として何の気概も責任感もないのだなということを改めてしみじみと感じさせてくれました。
- 安倍内閣や安倍氏本人の無責任さがこの発言に凝縮されています。
- ずっと責任は私にあると言い続けのらりくらりしてきた人の〆のこの一言。この人はレベチだと改めて再認識した。
- 安倍前首相は本当に何も責任を取らなかったなあと改めて実感。
- 責任とは何か、責任を取るということはどういうことか、考えさせられる
- 無責任内閣、これ極まれりな発言だなと。この言葉通り、何一つ責任を取りませんでしたが。
- いわばまさに大賞であると、私は考える次第であります
第1位(289票)「幅広く募っているという認識でした。募集しているという認識ではなかった」(安倍晋三総理大臣)
約3分の1の得票を得て圧勝したのは、「募っているが募集ではない」でした。一文だけでわかる「安倍ワールド」や、インパクトの強さで覚えていた方も多かったのでしょう。
結局「募集」と「募る」の違いも誰も理解しないまま安倍総理は退陣してしまいました。
意味不明な発言やひどい発言はかつても多数ありましたが、理解不能な発言をされたまま、その意味が誰も理解できなかったという現象は、憲政史上なかったのではないでしょうか。
他を寄せ付けない圧倒的な強さで終始独走し、 見事今年の大賞を獲得しました!
振り返ると、3位から1位まですべてが安倍総理の発言。2020年は名実ともに「安倍総理」の年でした。
願わくば、2021年には新たな珍言ではなく、より議会政治の本質に迫った名言が多数選ばれてほしいものです。
頂いたコメント(一部)
- 「募っているが募集していない」は大喜利にもなって面白かった。まさかその後に検察が本人聴取に動くとは思いませんでしたが……
- 国会クラスタのみなさんがいなければ、どんな議論が行われているか興味を持っていませんでした。そして、実際にやり取りを見て驚きました。こんなに非論理的なんだと。それを象徴する一言(のうちのひとつ)を選びました。
- 「詭弁とは何か?」を、現役総理大臣が、国会の場で、小学生でも分かる形で身をもって示されたものとして、後世に残すべきであると考えたからです
- 言論の府の崩壊ぶりを示す候補の中でも特に衝撃的でした。一方でこのような人を選んでいるのは国民。その現実にも悲しみを覚えます。
- 政治家の方は頭脳明晰かつ冷静沈着に物事を判断していると信じきっていた私が、暇さえあれば国会を見るきっかけになった迷言です。
- 来年は、国会で日本語が通じるようにしてほしい。
- 色々ありましたが募ってはいたが募集しているという認識はなかったに勝るインパクトのあるものはないかなと。当時国会見ながらのけぞって変な声が出ました
- 国会流行語大賞の候補の発言集を見ていると、安倍前首相関連の発言が多いので「国会は『安倍劇場』だな。」という印象を持ちました。
- 1票を投票したという認識でした。票を投じたという認識ではなかった
全結果
全部の結果はこちらからご覧いただけます。よろしければご覧ください。
番外編
選考委員長賞(踊❤ウタマロ賞)
「急に亡くなられ……辞められちゃったんで」(桜田義孝元オリンピック担当大臣)
理由は「(テレビ局の)期待を裏切らないから」とのことです。
候補に入れなかった発言について
ネガティブな反応もたくさんいただきました。多くは「中立ではない」「選考が偏向している」という趣旨です。
そういった趣旨でしょうか。下記2つの発言について、その他欄などで沢山の投票をいただきました。
もちろん、「流行語大賞」であり、この2つの言葉がある種の界隈で流行しなかった、とは言えません。
だからといって、「今年の10大ニュース」に「トランプ大統領再選」を入れることが出来ないのと同じように、デマや曲解によって拡散されたものを、無批判に取り上げないことは書き手としての責任だと思います。
下記に、なぜそもそも選考に入れていなかったかについて理由を説明します。
28票「時間が余ればコロナもやります」(福山哲郎参院議員)
会派の中の時間割の話です。普通に午前の質疑はコロナのこと聞いてるんですよね。
「もともと、最初の予算委員会で、与えられた質疑時間は30分。私は9時からの質疑で、11時半までの2時間半、マスクの備蓄や検査の問題など、全てをコロナの質問に充てた。当該発言は、2回目の質疑のとき。最初にコロナのことをやったあと、残りの時間を『桜』に充てた。
『時間が余れば』というのは、『その日に限られた時間の中で』という意味。前の質問で全てをコロナに充てたものだから、『時間があれば』というのは『もっと時間があればコロナも桜もやりたい』ということ。コロナウイルスを軽んじたつもりはまったくなかった」
「立憲民主党はコロナを軽視して桜ばかりだ!」という批判は、(少なくともこの質疑を根拠にしてするのは)不適切です。
少し調べればわかることですので、明らかに答弁の背景を歪曲していると判断します。
8票「時代はサーバーよりクラウド」(蓮舫参院議員)
これについては、まずやり取りを読んで頂くといいかと思います(一部抜粋)。
蓮舫議員 マイナンバーカードを持っている人の十人に一人がアクセスをしただけで、集中してサーバーが障害を起こす。全国民の僅か二%の申請でシステム障害が出るというのは、これ仕方ないことなんですか。
高市大臣 これからかなり増えていくだろうということで、このサーバーを増やさせていただくことにいたしました。これを第二次補正予算に計上しております。
蓮舫議員 いやいや、サーバー増やせば問題が改善するんじゃないんですよ。問題は何だったという報告を受けていますか。
高市大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。あのときはサーバーの最大値まで能力を増強したということで乗り切って解消をしたんですけれども、一時的にこのオンライン申請、受付開始後にアクセスが集中したということでございます。
蓮舫 いいですか、e―Taxの場合には、個人千百四十万件の申請に対してサーバーのキャパシティーは二千二百万人、これ当たり前ですよ。だって、この夏に四千万カード普及を目指すとしているのに、二百万の申請だけでアクセス集中でサーバーにシステム障害が起きる。三千三百億使っているんですよ。
(中略)
高市大臣 十分にここは、どういうところで処理能力は弱かったのかということで、具体的に、サーバーの増強台数につきましても、電子証明書情報を作成するためのRAサーバーですね、これを現在四台ですが十二台にさせていただく、電子証明書の作成などを行うCAサーバー、現在二台ですけれども六台に増強させていただくということでこの金額になっております。
蓮舫議員 サーバーは増やすんじゃなくて、時代はもうクラウドなんですよ。だから、これまでの積み上げてきたもののベンダーの継ぎはしのシステムじゃなくて、本当に問題がどこにあるかというのを確認をして、それで予算付けをするなら分かるけれども、言われたがまんまにお金を支払う。税金は限りがある。
蓮舫議員 大臣、これ、しっかり機構の人を呼んで確認をして、そして本質的な改善策を講じていただきたいと改めてお願いをいたします。なぜなら、この機構は、システム独占だけじゃなくて、マイナンバーカード発行も独占しているんですよ。
蓮舫議員は抜本的なシステムの見直しを主張しているのであって、「サーバーとクラウドが違うものである」ということを言っているわけでは有りません。
政府はクラウドを基本とする方針を掲げていて、その根拠として「効率性・セキュリティ・技術革新・柔軟性・可用性」の5つを上げています。
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/cloud_%20policy.pdf
3000億円かけたシステムが少ない負荷で落ちてしまい、対策が「サーバー増やします」だけなら、「サーバーの台数だけの問題じゃないですよね?システム見直しませんか?」と聞くのは、文脈としておかしくありません。
クラウドがあらゆるケースで正しいわけではありません(プラットフォームにロックインしてしまうリスクや、海外企業に情報を預けることの是非、レイテンシなど)し、蓮舫議員が正しいことを言っているかどうか、ということを論じるつもりはありません。
しかし、「ITを何も知らない議員が馬鹿な発言をした」というような形で取り上げるのは適切ではないと判断します。
結びに
中立性というのは基準を明確にすることであり、お互いの意見を単に併記することではありません。改めてきちんと基準を説明させていただきました。
表彰式は唐揚げを増やすなど対応した上で会費5000円で開催する予定でしたが、残念ながらコロナ下ですので自粛させていただきます。
ともあれ、ご参加いただいた皆様も、横目で眺めていた皆様も、ありがとうございました。2021年もやるかもしれません(やらないかも)。良いお年を!
#国会流行語大賞2020 今年一年の国会の名言迷言珍言をご紹介します
今年も始まりました(今年しかやってませんが)「#国会流行語大賞2020」。
一年中国会を見ている変態国会クラスタの皆様から多数のご推薦をいただきまして、候補作を揃えて投票中です。
(↓から投票できます!今週の日曜日まで!)
すでに多数の投票を頂いていますが、今年の国会の一年を振り返る意味でもそれぞれの候補をご紹介し、それについての記事のリンクと、私なりの一言をつけておきました。
今年一年、政治だけではないですが、いろいろなことが有りました。次々起こることも重要ですが、忘れないことも大事です。「あんなことがあったな」と思い出しながら、良ければぜひ投票に参加してみてください。
特定の政治家や政党を批判する意図はないんですが、「結果的に」安倍総理の発言のインパクトが多すぎた一年でした(むしろ多すぎて減らしました)。
あれが入ってないこれが入っていない、というご意見があればすみません(コメントにでも書いておいてください)
*12/10「そして絆」を追加しました
- #国会流行語大賞2020 候補一覧
- 投票の対象となる発言
- No1 募っているが募集しているという認識ではなかった
- No2 意味のない質問だよ
- No3 それを信じてもらえないということになれば、予算委員会が成立しない
- No4 根拠がないことを仰るというのは、嘘をついているというのと同じこと
- No5 真っ赤なうそだったではないか
- No6 私が責任を取ればいいというものではありません
- No7 福島委員は妄想をたくましくしておられて
- No8 民主党は批判の対象にしかしなかったが、少し良いことがあった
- No9 ずっとしているんですが全然息苦しくはございません
- No10 全集中の呼吸で答弁
- No11 総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断
- No12 そして絆
- No13 みんな絶句して黙る
- No14 6月にはなんとなく収まるのかなと思わないでもない
- No15 つまんないこと聞くね
- No16 日本語、分かっていただけましたか
- No17 帰れ帰れ
- No18 首に掛ける扇風機で風を出し、換気を良くするようにしている
- No19 うちは残念ながら動かすだけのキャパがない
- No20 相当ほら吹いてきました
- No21 市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです
- No22 反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えないという指摘を反省
- No23 急に亡くなられ……辞められちゃったんで
- No24 言える限界を言っている
- No25 長すぎて理解できません
- No26 後ろの方全部教えてあげてください
- No27 不規則発言は気にしないでください
- No28 女性はいくらでもうそをつける
- No29 密、密、密よ
- No30 祖父が山本で、父が鈴木で、孫が田中みたいなことになる
- No31 しっぽを振るポチなのか
- No32 鯛は頭から腐る
- No33 いわゆる安倍方式
- No34 ヤジで止めようとするのは当たり前
- No35 委員長の御静粛にのせいで、私は閣僚の答弁が聞こえません
- No36 新型コロナではないので、ご安心いただければ
- No37 大変勇気づけられる答弁だ
- No38 国会会議録というのは、国会と国民に示された条文解釈そのものです
- No39 私が言っている方がおかしいと思う方、手を挙げてください
- 終わりに
#国会流行語大賞2020 候補一覧
投票の対象となる発言
- 2020年12月1日時点で「現職」の国会議員、または大臣である人間が「発言」したもの
- ツイート、記事執筆等、文章のものは含まない
- 本人が発言を認めた、複数のソースが発言を認めたなど、発言の確認が取れたものに限る
No1 募っているが募集しているという認識ではなかった
「幅広く募っているという認識でした。募集しているという認識ではなかった」(安倍晋三総理大臣)
説明不要、大賞の大本命。Twitterでも大変に盛り上がりました。
「募集という字は募ると書くんですよ」となぜか中学校卒業レベルの漢字の説明を始めてしまう宮本徹衆院議員の発言も味わい深いです。
No2 意味のない質問だよ
「意味のない質問だよ」(安倍晋三前総理大臣)
辻元清美衆院議員が、桜を見る会について質問した後のヤジ。
安倍総理が「鯛は頭から腐る」の格言を知らなかったのか、自席から「意味のない質問だよ」とヤジり、その後も「罵詈雑言を浴びせられた」とヒートアップ。
教養って大事ですね。
No3 それを信じてもらえないということになれば、予算委員会が成立しない
「私が話しているのは真実。それを信じてもらえないということになれば、予算委員会が成立しない」(安倍晋三前総理大臣)
桜を見る会に野党側にANAホテルの回答を書面で示すように言われ、この回答。
総理大臣を信じなければ予算委員会は成立しないそうです。結局、嘘だったわけですが。
No4 根拠がないことを仰るというのは、嘘をついているというのと同じこと
「根拠がないことを仰るというのは、嘘をついているというのと同じことですよ」(安倍晋三前総理大臣)
黒岩宇洋議員の質問に答えて。黒岩さんが「久兵衛の寿司が出たという話もある」と発言したことを受けてこの反応。
誰が嘘つきなのか明らかになった今となっては、実に味わい深いご発言です。
No5 真っ赤なうそだったではないか
「すしの話の時も決めつけをしたが、真っ赤なうそだったではないか」(安倍晋三前総理大臣)
「人間としてどうか」と面罵 安倍首相、野党議員に―衆院予算委:時事ドットコム
名言が多く、同じ黒岩宇洋議員からの質疑への応答から、2つもランクインしてしまいました。
「人間としてどうなのか」という発言もあって入れるか迷ったのですが、3つも入ると流石に多すぎるかと思い泣く泣くカットしました。
No6 私が責任を取ればいいというものではありません
「例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものではありません」(安倍晋三前総理大臣)
会見で「失敗したらどう責任を取るのか」というイタリア人記者の問に答えたものです。
行政府の長とは何なのか、という哲学的な問いを投げかけてくる名言。
7年半政権が続いた理由がよくわかります。
No7 福島委員は妄想をたくましくしておられて
「福島委員は妄想をたくましくしておられて、独自の議論をされているようですが」(安倍晋三前総理大臣)
2020年3月23日、予算委員会で森友問題、検事長定年延長問題、検察官定年延長改正法案について総理、法務大臣に質問 | 社民党 福島みずほ 参議院議員(比例区)
福島みずほ議員の森友問題の改ざん事件でなぜ起訴されなかったのか、黒川さんが動いていたのではないか、という質問に対してなんと2回も「妄想をたくましく」と返答。
福島さんは一回目はスルーしましたが、さすがの福島さんでも二回目は「妄想とは失礼ですよ」と気色ばみました。一回目で怒ってもいいですよ。
No8 民主党は批判の対象にしかしなかったが、少し良いことがあった
「もっぱら私は民主党は批判の対象にしかしなかったが、少し良いことがあった。例えば武器輸出三原則の緩和だ」(安倍晋三前総理大臣)
長島昭久衆院議員のパーティーでの発言。あの安倍総理が民主党を褒めるということでタイムラインが沸き立った名言です。
考えてみれば、元民主党の人、自民党に結構いますもんね。総理、これを期に認識を改められては?
No9 ずっとしているんですが全然息苦しくはございません
「私はずっとしているんですが全然息苦しくはございません。意図的にそうやっておとしめるような発言はやめていただきたいと本当に思います」(安倍晋三前総理大臣)
大串博志議員が、最初アベノマスクをつけて答弁していたけど「息苦しい」ということで付け替えるとこのような反応。
総理、いつの間にかつけなくなってしまいましたが、やっぱり息苦しかったんじゃないですか?
No10 全集中の呼吸で答弁
「全集中の呼吸で答弁させていただく」(菅義偉総理大臣)
安倍総理があまりに多すぎたのでようやく現職の菅総理です。
事務方に求められたのか、気合を込めて言ったのに一瞬議場が静まり返ったのが印象的なこの一言。
議会の若者の少なさを強く印象づけました。
No11 総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断
「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」(菅義偉総理大臣)
学術会議問題を象徴するような一言。 色んな理由があるらしいが人事のことは言えないし加藤陽子さん以外は知らなかったそうです。こまけぇことはいいんだよ!
No12 そして絆
自助、共助、公助、そして絆(菅義偉総理大臣)
突 然 の 絆
No13 みんな絶句して黙る
「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』って言ってやると、みんな絶句して黙る」(麻生太郎財務大臣)
なぜコロナの死者が少ないか、という質問に答えて。
たしかにこんな事言われたら、私も黙ります。(話したくない)
No14 6月にはなんとなく収まるのかなと思わないでもない
「スペインかぜも、7月になったら、だいたい止まっている。だから、この種の話は6月にはなんとなく収まるのかなと思わないでもない」(麻生太郎財務大臣)「スペインかぜも7月に止まっている 6月にはなんとなく収まるのかなと」麻生財務相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
財務金融委員会で。思わないでもない、なのでセーフ!
No15 つまんないこと聞くね
「つまんないこと聞くね」(麻生太郎財務大臣)
会見にて「一斉休校の費用はどこが負担するのか」と聞いた記者に対して。
どう考えても割と重要なことを聞いた記者をさらっとDisるあたり、上から目線が骨の髄まで染み付いてます。
No16 日本語、分かっていただけましたか
「お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか」(茂木敏充外務大臣)
会見にて、ジャパンタイムズの取材に答えて。
日本語でむちゃくちゃ詳細に聞かれている(しかもものすごく流暢)のにはぐらかすの、「人間が小さく見える大賞」なら堂々グランプリですね。
No17 帰れ帰れ
「帰れ帰れ」(茂木敏充外務大臣)
口元を隠し「帰れ!」と指示する茂木大臣。従わされているのは人事院の松尾局長。2月19日衆議院予算委員会。まさに今問題となっている検察庁法改正案にかかわる審議の場面。松尾局長は、みずからの2月12日の答弁を、安倍首相の答弁との整合性を持たせるために「つい言い間違えた」と撤回させられた。 https://t.co/bGphYfSyqs
— 上西充子 (@mu0283) May 12, 2020
予算委員会で人事院の松尾局長に。普段、行政組織で部下にどういうふうに接しているのかわかる貴重なオフショットです。
No18 首に掛ける扇風機で風を出し、換気を良くするようにしている
「会食時、首に掛ける扇風機で風を出し、換気を良くするようにしている」(西村康稔経済再生担当大臣)
「会食時は換気のいい状態を作る工夫をしている」西村大臣、娘からもらった首掛け扇風機を使い感染防止対策を呼びかけ(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース
会見にて、換気の工夫を聞かれ。娘さんが買ってきた扇風機らしいのでちょっと気が引けますが、大臣、顔の周りの空気をかき回しても逆効果では……。
No19 うちは残念ながら動かすだけのキャパがない
「野党にどんどん女性を出して頂いて、効果があれば循環していくのだろう。うちは残念ながら動かすだけのキャパがない」(野田聖子自民党幹事長代行)
女性議員を増やす方策についての発言。
野田議員は「自民党に初の女性代議士を」をスローガンに、たった一人の自民党女性議員として当選された時期もあっただけに、党内への忸怩たる思いのある発言でしょう。
No20 相当ほら吹いてきました
「相当ほら吹いてきましたから。後の始末をよろしくお願いします」(北村誠吾前地方創生担当相)蓮舫氏、引き継ぎ式で「相当ほら吹いてきましたから」の“北村発言”に「え?」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
昨年は「適材適所」という言葉の意味を疑いたくなるほどお粗末なご答弁をされていましたが、退任式でも「ほらふいてきた」と一言。
最後まで「適材適所」な大臣でした。
No21 市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです
「東日本大震災の時、検察官は、福島県いわき市から国民が、市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです」(森雅子前法務大臣)
今年前半、検察官定年延長問題で大炎上した大臣といえば森雅子さんですが、自身の発言も火だるまに。
「最初に逃げた」発言で検察官出身の山尾志桜里衆院議員を激怒させ、しかも休憩中にマスコミの取材を受けるという前代未聞の珍事を起こし、紛糾しました。
No22 反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えないという指摘を反省
「反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思うが、反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えない、というご指摘は、私自身の問題だと反省をしている」(小泉進次郎環境大臣)
去年は小泉進次郎構文が話題になりましたが、今年もこの名言が。
結局、何を反省してるんですか……?
No23 急に亡くなられ……辞められちゃったんで
「急に亡くなられ……辞められちゃったんで」(桜田義孝元オリンピック担当大臣)
ワイドショーで総裁選について聞かれてつい一言。
見たことがないほどあたふたされていて、言い間違いとは怖いものだと思いました。
No24 言える限界を言っている
「答えていると思うよ。言える限界を言っている」(金田勝年衆議院予算委員長)
野党側の質問に「人事のことなので答えられない」と拒否する総理に対して、委員長が一言。
委員長は政府の役職じゃないはずなんですが、どうやら言える限界は把握しているようです。
No25 長すぎて理解できません
「長すぎて理解できません、短くお願いします」(棚橋泰文前衆議院予算委員長)
今年、予算委員会で1番注目されたのは、ひょっとすると総理だけではなく棚橋委員長も、かもしれません。
桜を見る会の名簿について、公選法上の定義を聞く川内さんの質問に「何の質問ですか」「長すぎてわかりません」と返答。
棚橋さん、ひょっとして疲れて寝てたのでしょうか?体調が心配です。
No26 後ろの方全部教えてあげてください
「大臣、わからなければ、後ろの方全部教えてあげてください」(松島みどり法務委員長)
いいんちょの名言。
— きいち🌸 (@Kiich_asa) May 26, 2020
「大臣わからなければ、後ろの方全部教えてあげてください」#国会中継 https://t.co/vbqfgS18Df pic.twitter.com/pgVaJuxSCp
後藤祐一議員の質問中に口ごもる森雅子法務大臣に一言。
さすが元法務大臣、という仕切りですが「わからなければ教えてあげて」はなかなか正直ですね。
No27 不規則発言は気にしないでください
「不規則発言は気にしないでください。どうぞ、どうぞ答弁して」(金子原二郎前参院予算委員長)
衆議院の予算委員会が紛糾している時、参院は金子委員長の仕切りで比較的穏やかに進んでいました。
「気にしないでください」はなかなか風格のある、悠然とした仕切りです。
No28 女性はいくらでもうそをつける
「女性はいくらでもうそをつける」(杉田水脈衆院議員)
「女性はいくらでもウソつける」…自民・杉田衆院議員、性暴力相談事業を批判 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン
自民党の会議で杉田水脈議員の発言。最初は「言っていない」と主張されていましたが後に「どうやら言っていたようだ」と修正されました。
クレタ人のパラドックス(嘘つきが嘘をついたと言ったらどうなるか?)が2020年に見れるとは思わなかったですね。
No29 密、密、密よ
「密、密、密よ」(河井案里参院議員)
河井案里さんが記者に囲まれて一言。定期的に動画を見たくなるリズムの良さです。
No30 祖父が山本で、父が鈴木で、孫が田中みたいなことになる
「祖父が山本で、父が鈴木で、孫が田中みたいなことになる。混乱を生じさせないことが大事だ」(城内実衆院議員)
選択的夫婦別姓の議論が与党内で加速する中、城内実議員の一言。
世の女性(男性も)は「いや、よくあることじゃん」と心のなかでつぶやきました。
No31 しっぽを振るポチなのか
「安倍総理にしっぽを振るポチなのか」(枝野幸男立憲民主党代表)
議事進行を批判「総理にしっぽを振るポチか 恥を知れ」立民 枝野代表 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
棚橋委員長の仕切りに一言。委員長から反論されたら、以前民主党政権を「両生類まで戻った」と批判していたことを引き合いに「カエルならいいのか」と再反論。
こういうイヤミ・皮肉を言わせたら一級品ですが、最近は慎重な発言が多く寂しい限りです。
No32 鯛は頭から腐る
「鯛は頭から腐る。上層部が腐敗していると残りもすぐに腐っていく。頭を替えるしかない」(辻元清美衆院議員)
安倍総理の矛盾を暴いた後に締めの一言。
その後にあの「意味のない質問だよ」が飛び出します。
No33 いわゆる安倍方式
「参加者一人一人と契約をし、ホテルの領収書を渡す、いわゆる安倍方式でやっていたんでしょうか」(辻元清美衆院議員)本日2月3日、安倍総理に予算委員会で質問しました ……7年間すべて5000円、安倍晋三後援会の「桜を見る会・前夜祭」。そして資金報告書未記載の疑いが! | 活動ブログ | 辻元清美WEB
今年はとにかく野党側の議員の影が薄かった。その中でも「安倍方式」という新語を生み出した辻元さんは流石です。
この後いろんな野党議員が安倍方式という言葉を使いました。
No34 ヤジで止めようとするのは当たり前
「おかしな予算を通されようとしたら、ヤジで止めようとするのは当たり前じゃないですか」(本多平直衆院議員)
「ヤジで審議を止めるのは当然」立憲・本多議員の発言が物議 松井大阪市長は「厄介な勘違い議員」と批判 (2020年2月20日) - エキサイトニュース
ヤジも答弁も音量が大きいことで有名な本多議員。与党議員や委員長から名指しで批判されたりもしましたが、ヤジを批判されると逆にこの発言。
良くも悪くも存在感のある委員でした。
No35 委員長の御静粛にのせいで、私は閣僚の答弁が聞こえません
「委員長の御静粛にのせいで、私は閣僚の答弁が聞こえません」(本多平直衆院議員)
今年は不思議なタイミングで「静粛に」と止めることが多かった棚橋委員長。
拍手が起きてるときに「静粛に」と止めて「拍手は止めなくていいです」と苦笑いされたことも有りましたが、「静粛に」はどうやら静粛ではなかったようです。
No36 新型コロナではないので、ご安心いただければ
「ちょっと風邪引いておりまして咳が止まんなくてですね、新型コロナではないので、ご安心いただければという風に思うのですけれども」(杉尾秀哉参院議員)
笑いを取ろうとしたら笑えなかった、という典型的発言ですが、今年前半はこういうジョークが各所で繰り広げられたのだろうなと懐かしくなります。
No37 大変勇気づけられる答弁だ
「大変勇気づけられる答弁だ。安倍首相との質疑でこういう最後になるのはあまり経験がない」(小池晃共産党書紀局長)
女性がヒールを強制されることについて問われた安倍総理は「男性と女性が同じ仕事をしているにもかからず、女性に服装で苦痛を強いることはあってはならない」と名言。議場には与野党関係のない拍手が飛びました。
そう、総理大臣や閣僚が答弁すれば、社会は変えられるんです。それを多くの閣僚に忘れないでほしいですね。
No38 国会会議録というのは、国会と国民に示された条文解釈そのものです
「国会会議録というのは、国会と国民に示された条文解釈そのものです」(田村智子共産党政策委員長)
日本学術会議の任命拒否「あり得る」と法解釈する文書は「見当たりません」。内閣法制局が国会答弁(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース
学術会議問題に関して、政府がかつての答弁を無視して法解釈を新しく作り上げたことに、田村智子議員が一言。
いろいろなことが有りましたが、国会答弁を無視して新しい見解を作る、というのはやはり、国会クラスタにとっては最もインパクトが大きい出来事だったのではないでしょうか。
No39 私が言っている方がおかしいと思う方、手を挙げてください
「与党の委員の皆さんにも聞きたいと思います。私が言っている方がおかしいと思う方、手を挙げてください。一人もいないじゃないですか」(宮本徹衆院議員)
「記録がない」といいつつも、野党議員の質問には「問題はない」と答え続ける官房長の質疑に業を煮やしてこの一言。誰の目にもどちらが正しいかは明らかでした。
終わりに
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【完全版】日本学術会議の「任命拒否」は、一体何が問題なのか?
日本学術会議に関する動画をアップロードしました。可能な限りわかりやすく日本学術会議の任命拒否について解説しよう、という趣旨でして、顔出しするものなあと思いつつ、せっかくなのでやってみました。
こちらのエントリーでは、動画の元原稿をもとに、動画では話しきれなかったことも含め加筆しております。合わせてどうぞ。
YouTube動画
今話題になっている日本学術会議で、6名の研究者が任命されなかった問題についてお話します。
日本学術会議とはなにか
そもそも日本学術会議とは何か、という話なんですが、これは、別名「科学者の国会」ともいわれていまして、科学者の内外に対する代表機関です。
もともとは修士号以上を持っている方がそれぞれ選挙を行ってメンバーを選んでいたんですが、中曽根康弘総理の時代に、今のように「学術会議の会員・連携会員が推薦し、内閣が任命する」形でメンバーが互選で選ばれるようになりました。(*1)
自主的選出「変わらない」/学術会議会員の公選制廃止時/83年政府文書で明確
各国にこういったアカデミーはあります。
イギリスには王立協会。ロバート・フックがニュートンをいじめたり、その後ニュートンが会長になったりしたのが有名です。
アメリカには米国科学アカデミー。ドイツにはドイツ科学アカデミー。
内閣府の2015年の有識者会議向けの資料があるんですが、王立協会は7000万ポンドの予算で約7割が議会からの助成、全米科学アカデミーは予算が2億ドルで、8割が連邦政府からの支出、ドイツは9000万ユーロで全額公費、という感じです。
学術会議は、公的機関というたてつけで、全額公費で賄われ、予算は10億円。こうして比較すると、年代の違いはありますがそこまで公費支出が違うわけではありません。
一部で混同されて批判されていましたが、日本学士院というのもあります。
学士院はどちらかというと殿堂というか、名誉職的な側面があります。所属されている方は終身で、年金も出るのですが、自然科学でいえば、本当にノーベル賞級の方ばかりです。
例えばノーベル物理学賞の江崎玲於奈さんとか、IPS細胞の山中伸弥さんとか、そういった日本の発展、ひいては科学技術の発展に貢献した方々が生活に困らないよう、国家として年金をお送りしてるわけですね。ですので、学士院ではなく、日本学術会議がアカデミーの役割を実質的に果たしています。
日本学術会議はいわゆる理系だけではなく、文系の方も多い訳ですが、今回は主に政治学系、人文科学系の方がある種狙い撃ちに合ったわけです。
内閣に任命拒否された6名の方をご紹介します。
- 京都大学教授で、キリスト教学者の芦名定道さん。
- 東京大学教授で政治思想学がご専門のの宇野重規さん。
- 早稲田大学大学院教授で、行政法がご専門の岡田正則さん。
- 東京慈恵会医科大教授で、憲法学者の小沢隆一さん。
- 東京大学大学院教授で、歴史学者の加藤陽子さん。
- 立命館大学大学院教授で、刑法がご専門の松宮孝明さん。
私が最初に加藤陽子さんが拒否された、という名前を聞いたとき、加藤さんは新潮社から「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」というベストセラーを出版されていて、おそらく政治史という意味で日本で最も有名な方の1人だと思いますので、とても驚きました。
宇野さんも保守思想や政治思想を学ぶ上では避けて通れない方ですから、驚きました。6人の方は、それぞれの分野での第一人者と言っていいと思います。つまり、学術的な実績や能力で拒否された、とは到底言えないわけです。
今回、何が問題なのかというと、いろいろ学問の自由とか、学術会議がなんなのかみたいな話も出てるんですが、実は問題は一点しかないんですね。
日本学術会議法との適法性
日本学術会議法にこういう条文があります。
日本学術会議法 第七条
会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
この「推薦に基づいて、任命する」の解釈が何なのか、という話なんです。例えば、憲法6条にこういう条文があります。
日本国憲法 第六条
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
通常、「基づいて任命する」というのに拒否権があるとすると、天皇も総理の任命を拒否できるのか?みたいな法解釈が出来てしまいます。
つまり、「推薦に基づいて」というのは、その推薦をそのまま丸呑みする、推薦された人を全員任命することを前提に行われているわけです。
当たり前ですが、推薦に基づいて、ですので、定員を埋めるために他の人を勝手に任命することはもちろん内閣には出来ません。
ですので、仮に内閣が任命拒否する権能があると仮定すると、極論すると1人だけ残して後全員任命拒否したら、学術会議はたった1人だけの機関になってしまいます。
先程中曽根康弘総理時代に学術会議の方式が変わったという話があったのですが、法改正当時に中曽根総理がおっしゃっていることでもあります。
中曽根総理の答弁
昭和58年5月12日 参議院文教委員会で、八代英太(前島英三郎)議員の質問にこう答えています。
学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば
更に同じ日、手塚政府委員(当時は政府委員と言って、官僚が大臣の代わりに答えることができました)がこうも述べています。
私どもは、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右するということは考えておりません。
仕組みをよく見ていただけばわかりますように、研連から出していただくのはちょうど二百十名ぴったりを出していただくということにしているわけでございます。それでそれを私の方に上げてまいりましたら、それを形式的に任命行為を行う。これが実質的なものだというふうには私ども理解しておりません。
まあ、ちょっと解釈の余地がないほど明確な答弁なわけですが笑 この解釈に沿って考えると今回の内閣の任命拒否は明確に違法なわけです。
解釈は変えていない?
実は、先日も野党ヒアリングが行われて解釈変更があったのかを問われているわけですが、解釈を変えてないと内閣府と内閣法制局は答弁しています。
何を言っているかというと、「形式的な任命行為を行う。実質的なものではない」という答弁は、「必ずそうしなければいけないというわけではない」から、実質的な任命行為を行っていい、と。こう政府は答弁しているわけです。
これは無茶苦茶な話で、こんな答弁がまかり通るんであれば、どのような趣旨の答弁であれ、「必ずそうしなければいけないというわけではない」というロジックは使えるので、政府の答弁はすべて後でいくらでもひっくり返せる、という事になってしまいます。
いや、それどころか、法律に書いてあることですら、「法律にはこう書いてあるけど、必ずそうしなければいけないというわけではない」ということで、好きなことをできてしまいます。
はっきり申しますけども、そこまでの案件じゃないです。日本の法治国家としての根幹を壊して、法的安定性を犠牲にしてまで、すすめる話じゃないんです。
法的安定性と解釈変更
何が適法で何が違法か明確になってないと、法律というのは意味がないんです。
よくわからないうちに解釈が変わっていまして、いつ変わったかはわかりません。なんていう国家は法治国家じゃないです。
法律にはこう書いてあるけど、別にこれは守らなくてもいいです、なんていう国家も法治国家じゃありません。
憲法における解釈変更というと、いわゆる自衛隊の存在とかが有名ですけど、憲法66条第2項の「文民条項」というものがあります。
もともと自衛官は建前として軍隊じゃないので文民としていたものを、いや実質的に軍隊だから文民じゃないだろう、と解釈を変えたんです。
当初は、自衛官は文民に当たると解していた。
その後、自衛隊制度がある程度定着した状況の下で、憲法で認められる範囲内にあるものとはいえ、自衛隊も国の武力組織である以上、自衛官がその地位を有したままで国務大臣になるというのは、国政がいわゆる武断政治に陥ることを防ぐという憲法の精神からみて、好ましくないのではないかとの考え方に立って、昭和四十年に、自衛官は文民に当たらないという見解を示したものである。
これは政府が明確に「解釈変更しました」と述べているんですね。
ただ、憲法というのは単純な立法ではなく、また憲法改正というのも通常の立法過程とかなり違うものになってしまうので、その是非はともかく解釈変更する意味というのはわかるんですね。
しかし、一般法というのは内閣が内閣の権限として法律を出して成立させることが出来るわけですから。これを閣法として出さずに勝手に解釈変更するのは、立法府を空洞化させる大変罪深いものです。
国会の意義とは
そもそも国会というのは、議員と行政がお互い答弁して文字に残して、それをもとに国家運営していくことに意味があるわけですね。
これが議会人としての責務なわけです。それを、なんか知らないうちにぽいっと捨ててしまう。これほど議会や立法府を馬鹿にした行為はありません。
もう一つ。
日本学術会議法 第一条
日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
まず、「所轄」なんですけど、芦部信喜さんが書かれた「憲法」に、所轄というのは任命権と予算権を持つくらいで監督権はほぼ働かない、という記述があるんです。
更に、
日本学術会議法 第三条
日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
を合わせれば、法文上、日本学術会議が政府の監督権のない独立機関であることは明確である、と言えると思います。
もとより、学術会議法の二十五条には、内閣が学術会議のメンバーを罷免する際には学術会議の同意が必要、とあります。
内閣府は、任命拒否の根拠条文を
日本国憲法 第15条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
に求めているわけですが、そもそも条文で罷免の権限を縛る立法をしている以上、それを根拠にはできません。
もし「内閣総理大臣によるすべての任命権が憲法上の権利である」という答弁を維持するなら、現状の日本学術会議法は、明文的に罷免権を制御し、憲法15条を犯す違憲立法である、という論理が成立してしまいます。
少なくとも現在の法制度上は、内閣は監督権も及ばず、辞めさせる権限もない。辞めさせる権限がないのに、任命を特定の人だけ拒否できるというのは一般的に考えてもおかしな話です。
先程の文教委員会で、中曽根総理はこうもおっしゃってるわけです。
独立性を重んじていくという政府の態度はいささかも変わるものではございません。
学問の自由ということは憲法でも保障しておるところでございまして、特に日本学術会議法にはそういう独立性を保障しておる条文もあるわけでございまして、そういう点については今後政府も特に留意してまいるつもりでございます。
そもそも拒否された先生方が刑法や憲法学、行政法などでそれぞれ日本の権威です。
もともと政府の審議会に入っていたり、司法試験の審査委員をやっていたり、第一人者です。その方々が法解釈を間違っているとご発言されているわけです。
いま行うべき議論とは
今いろんな形でわけのわからない議論の拡散が起きていますけど、いやそもそも学術会議が左翼だ、とか、税金の無駄だ、とか、不要だ、みたいな議論が、与党の国会議員の方からも出ているわけですね。
一つだけ申し上げたいのは、少なくともそういった議論は今回の論点ではない、ということです。(日本学術会議と日本学士院に組織としての関連性が皆無であることは、先程来書いているとおりですが)
今回の論点は、日本学術会議法上、任命が法的に適法か違法か、であって、日本学術会議がたとえ日本一無駄な組織だろうと、悪人ばかりを集めた闇の組織であろうと、この議論には全く関係しないわけですね。
明らかに内閣が違法な事をしたときに、その対象となった人、しかも国の発展に寄与している第一人者に悪い印象付けをするようなことは、公で発言される方がすべきではない、と思うわけです。
学術研究というのは本当に国の基礎であって、国家の発展のために欠かせない分野です。
普段科学技術振興だ!と言って、ノーベル賞を日本人が取るとオリンピックの金メダルと同じように大喜びする人でも、一度政権に飛び火しそうなら、事実関係を混同したまま、年金が高い!とか攻撃してしまう政治家がいるんだな、と思うと私はかなり暗澹たる気持ちになりました。
年金に関しても、ノーベル賞をとった方、世界の進歩に大きな貢献をした方が、例えば年金もなしに生活に困窮するようなことがあったら、その国は先進国と言えるのでしょうか?
学術的な評価、そして研究は、その人の思想信条と切り離して評価すべきです。本当に、マスコミも、あるいは一部政治家の方も日本の科学技術の軽視に組みしていないのか、あらためて自省していただきたいと思います。
国会を注視しましょう
この件を踏まえて学問の独立というのはまさに、国家から独立したところで守られるべきなんだな、と改めて思いました。
いずれにしても、今後おそらく、閉会中審査、臨時国会での審議などが行われます。
引き続きこの問題に、皆さん注視していただき、ぜひ、生の情報に触れていただき、考えていただきたいと思ってます。
*1 中曽根内閣当時は「登録学術研究団体を基礎にした候補者推薦」を行っていましたが、平成16年に選考委員会による推薦に変更されています
「縦割り110番」の何が問題なのか
河野太郎行政改革担当大臣による「縦割り110番」に対して、4000通の悩み事が寄せられたと、大臣が記者会見で発表した。
自らのHPに「行政改革目安箱」を開いたが、4千件を超える情報や意見が殺到して停止していた。自らがすべてに目を通す方針も見直す。
「縦割り110番」とは、河野太郎氏が個人サイトに設置した投稿フォームだ。当初、すべての投稿を河野大臣が読むとしていたものの、投稿が殺到したため内閣府に開設することとなった、という。
目安箱をつくった17日段階では、届いたものを「全部読む」と明言していた。ただ、想定を大きく上回り、翌日には停止。25日の会見では「物理的に続けていくのは正直厳しい状況」としたうえで、今後は「役所のプロセスにまず乗せ、必要なものには目を通していきたい」と軌道修正した。
「公」と「私」の違い
もちろん、行政の長たる大臣が直接いろいろな意見を受けるのは良いことである。
しかし、問題はこの縦割り110番の投稿フォームが河野太郎氏個人のWebサイト上に設置されていたことだ。
かつて、金子恵美参院議員が公務以外で公用車を利用していたことが発覚し、問題になったことがあった。
あるいは、舛添要一都知事の公用車利用は、直接的に都知事交代の引き金となっていた。
公用車利用の是非についてはここでは明言を避けるが、「議員」という立法府の役割と「大臣・副大臣・政務官」という行政府の役割、あるいは私人としての立場は分けなくてはいけないということは明らかだろう。
例えば、ドナルド・トランプ氏個人のTwitterアカウントと、アメリカ大統領のアカウントも分けられているように、公と私を分けることは一般的に日本に限らず、重要なことだ。
ヒラリー・クリントン氏は、公務で個人のGmailを利用したことを批判されている。
個人情報はどうなっているのか
私がフォームを見た時点では、そもそもプライバシーポリシーなど、送信した情報がどのように使われるかは明示されていなかった。
縦割り110番に対してメッセージを送った方は、「大臣として」の河野太郎氏にメッセージを送ったわけだろうと思うが、政治家個人のメールというものは、個人だけが見るということはありえない。秘書や事務所の関係者などは必ず閲覧することになる。
もちろん、例えば特定のメールアドレスにフォームの内容を送信し、第三者が絶対に見られないという前提であれば、一定の秘匿性は担保されるかもしれないが、明示されていない以上、その解釈を取ることは無理があるだろう。
しかも、例えば大臣が読んだあとにそのメールがどうなっているのか、適切に破棄されたのかなどの情報は一切ない。
極論すればフォームを送信した人に対して、「ご意見をお寄せいただきありがとうございました。なおこのあとの進捗はメールマガジンにご登録ください」など、フォローアップと宣伝のメールを送ることも不可能ではない。
以上のことを考えれば、河野太郎氏個人のWebサイトに行政改革担当大臣としてのフォームを載せるのは到底ありえない話で、そもそも内閣府に設置することがすぐできるのであればそっちでやればいい。
極論すれば大臣としての地位を利用して、Webサイトのアクセスと、メールアドレスのリストを入手したという解釈もできなくもない訳で、問題が大きい。
まさに字義通りの「公私混同」と言えるのではないか。
「総理であり続けた人」がやめた
安倍晋三首相にはやりたいことがなかった。彼の政治的テーマは可能な限り長く首相をやることだった。
七年半の政治的リソースのほとんどは自身の権力維持に使われ、成立した大きな法案は共謀罪や安保法制、入管法改正など、出来が悪くとうていレガシーと言えるレベルのものではなかった。退任会見でも安保法制という言葉はついに一言も出なかった。
彼のライフワークが(7年半全く進まなかった憲法改正以外に)なんだったのか、誰にもわからなかった。
しかし、それは大いなる誤解である、この史上最長という歴史こそがライフワークであり、レガシーなのだ。
あるいは、それは自身の辞任以降、一年ごとに総理が変わっていくという事態を見て、安定した政権こそが日本にとって必要だ、と考えていたからなのかもしれない。
思い出を振り返ってみよう。安保法制では、自民党が読んだ参考人すら違憲と判断し、
共謀罪では「地図や双眼鏡を持っていれば準備行為」という謎の答弁が連発され、
西日本豪雨の際にはのんきに酒盛りし、
森友問題を巡っては、「関わっていたら政治家をやめる」と啖呵を切って一人の職員を自殺においこみ、
加計学園では、明白な嘘を「やっていない、あっていない、知らない」で押し通し、
桜を見る会では徹底的に文書を破棄して、
統計は改ざんされ、
日報は隠蔽された。
コロナ対策としてはお肉券が出てきたり、ブルーインパルスを飛ばしたり、アベノマスクを配ったり、いろいろチャレンジした。
IRもオリンピックも憲法改正も実現しなかったが、そんなことは史上最長の総理にとっては些細なことだろう。
この七年半、一人の人間が権力を維持するためにどこまでのことができるのか、ということを勉強させてもらった。感謝したい。
それから、おそらく総理の周りの人は私よりももっと感謝しているだろう。
国という薪を暖炉にくべて暖を取るような刹那的で場当たり的な行為だったけれども、大臣室でお金を受け取った甘利さんも、証拠をドリルで隠滅した小渕優子さんも、メロンを配った菅原一秀さんも、とにかくみんな辞めずにすんだ。(河井さんは運が悪かった)
重要なのは「何であったか」であり、「何をやったか」ではない。総理として何をやったかよりも遥かに重要なことは、総理で有り続けたことだ。なぜなら、安倍総理が総理で有り続けたことで、たしかに彼の周りの人は幸せだったからだ。
彼は何もしなかった。何もしなかったからこそ、総理で居続けられた。何かを成し遂げようとする人は弱い。何かで有り続けられる人のほうが強いのだ。
党が権力を得ようとするのは完全に自身のためだ。他者の幸福など我々は全く興味がない。我々が興味があるのは権力だけだ。富でも、贅沢品でも、長寿でも、幸福でもなく権力だけ、純粋な権力だけだ。純粋な権力が何を意味するかは君も今では理解しているだろう。我々は過去のどの独裁者たちとも違って我々が何をしているのかをわかっている。
「1984」ジョージ・オーウェル
コロナ対策で「今」行うべき政策は、少なくとも消費減税ではない
先日、このツイートに対して大きな反響があった。趣旨について説明する。
なぜ消費減税を「今」検討すべきではないのか
まず、結論から言うと、ツイートの趣旨はシンプルである。「自粛と消費喚起は両立しない」ということだ。
現在、日本政府は様々な形で消費を抑制する政策を進めている。大規模イベントの自粛、不要不急の外出の自粛などである。
そして、消費減税というのは「もっと外に出てどんどんお金を使ってください」という政策だ。
消費減税をすれば、規模の大小はともかく消費は喚起されるだろう。人は旅行に行ったり繁華街にでかけたりするだろう。まさかそんなことは起こらないとは言わないはずだ。消費減税は当然の帰結として不要不急の外出を増やす。
だから、この2つの政策はどう考えても両立しない。シンプルである。ツイートの趣旨説明はこれで終わりなのだが、もう少し説明する。
まず、今からもしあらゆる政治的リソースをすべて消費減税に投入したとしても、実際に減税が可能になるのは、奇跡的に早くとも半年後だろう。
現場での様々な混乱を検討すれば、これでも相当程度、非現実的なレベルで希望的観測である。(消費税というのは動かすのがそれだけ重たい税金だ)
もし半年後にコロナウィルスの問題が継続、あるいは悪化していたらどうするだろうか。不要不急の外出は自粛しつつ消費減税を行うとなれば、喜ぶのはamazonとUberくらいだろう。
そもそも、半年後まで廃業せずに残れる事業者が増えなくては意味がない。飲食店など小規模事業者は今虫の息だ。消費減税に政治的リソースをかければ、当然事業者への逸失利益の補償はおろそかになる。
さらに、もし倒産企業が増えれば失業者は加速度的に増え、様々な形の破綻処理に日本全体が追われることになる。
つまり、半年後に消費が上向くか否かについては、コロナ対策そのものも含めて、今のこの瞬間の政府の対応にかかっているのである。
ウイルスの拡大を止め、なおかつ事業者が倒産し破綻処理に追われ、街が失業者に溢れないようにするためには、迅速な対応が必要だ。
今行うべき政策は、納税延期、給与補償、税の減免
いま重要なのは、税金支払いの延期や減免、事業者への補償や、クビ切りが起きないための給与補償や失業者への手当の拡充だ。
例えば、飲食店やイベント業者など、コロナショックにより事業そのものがストップされてしまった業種は多い。そういった業者にとって、消費税を含めた支払いは重くのしかかる。なら、畳んでしまおうという発想になってもおかしくはない。
なので、まず今年度の税の支払いを可及的速やかに延期し、可能なら減免するべきだ。これは直ぐにできる対策である。
そして、コロナの影響で事業が立ち行かなくなり「解雇」せざるを得ない事業者も多いだろう。そういった企業、あるいは不幸にも失業してしまった人に対しては、給与補償を行う。
そもそも、今も「自粛」要請をしているわけだが、何の補償もない自粛要請に一体どの程度の意味があるのか。潰れるくらいならやるしかないという興行主も多いだろう。
無論、フリーランスには、一日4000円ではなく、もっと広範に、本来の逸失利益から計算した補償をおこなう。
今起きている問題は、「景気が悪くて困っている」とか、そういう話ではない。特定の業種において、事業そのものがストップしているのだ。だから、手元に現金が入らない。現金が払えなくては税金も払えない。
消費税が〇パーセントだろうが、少なくとも自粛している間は同じ傾向であろう。だから、まずは税金支払いの延期、減免、小規模事業者・フリーランスの迅速な保護が必要だ。
これはすぐにでも出来る政策である。現金が枯渇した会社は潰れるしかない。一度潰れた会社は、もとには戻らない。
法人税の納税延長は、いわゆる納税できるほど体力のある企業のためであって、やはりここは経営が苦しく、コロナの影響が直撃している飲食店などが難渋する、消費税の納付期限の延長を電光石火で決めるべきだ。 https://t.co/8ppsQDpWAK
— 寺田 学 (@teratamanabu) March 22, 2020
これは賛成です。コロナは終息が見えないとは言え、一定期間後には高い確率で収束します。まずは迅速な時間稼ぎとして、財政に決定的な影響を与えないことから比較的判断が容易で、かつ一斉融資と同様の意味を持つ納税猶予は是非検討すべきことと思います。 https://t.co/IgL4HMi17L
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) March 22, 2020
予算措置を伴う施策を否定しているわけではない。ただ、「#資金繰り対策」という「#時間との競争」においては、すぐに実行できて、直ちに効果を発揮する施策が必要だ。
— 野口悠紀雄 (@yukionoguchi10) 2020年3月22日
もし消費を喚起したいなら?
今消費が落ち込んでいるのは、政府が主導して抑制しているからだ。もし今のまま消費をもっと増やしたいなら、二つの道がある。
1つ目は、人が外出しなくてもすむ消費を増やすこと。例えば、通販・Eコマースなどの形態で販売したものや、テイクアウト、デリバリーにつき数%の還元を行う。まあ、前述したとおりUberとAmazonは喜びそうな施策だ。
もう一つは、消費の抑制を諦め、ウィルスの拡大終結を宣言することだ。オリンピックも開催すればいい。海外からどういう目で見られるかは知らないが、オリンピックがやれるくらい安全なら、出歩いても大丈夫だな、と賢明なる日本国民は思うだろう。
ウイルスの拡大リスクと経済の冷え込みを天秤にかけ、もう問題ないと思うのであれば、堂々と自粛をとき、消費を呼びかければいいのだ。
別にこれは皮肉で言っているわけではない。日本は一定程度抑え込めているという見方もあるわけだから、(現状を楽観的に考えれば)自粛をやめることは選択肢に入るだろう。
コロナウイルスのリスクに対する今のままの方針を継続するなら、政府がしっかり終結宣言できるまで、消費が抑制されることは許容するしかない。
コロナウィルスとの戦いを終結させるための対策を行い、その政府の対策により失われた所得を補填し、倒産と失業を最大限にケアする。
終結が見え、日本人全員が大手を振って経済活動ができるようになったなら、減税だろうが何だろうが検討すればいい。
今にもまさに廃業しそうな事業者、フリーランスは多数いる。少なくとも今、政治的なリソースを消費減税に費やすのは、あまりに現場の危機、今にも廃業、失業しそうな方々への視点が皆無なのではないか。
「そもそも消費税は何の意味もなく、逆進性が高く貧困層にデメリットが有り、景気を冷え込ませるあらゆる税の中で存在価値が皆無の税金で、無くすチャンスが有ればどんなときでも無くすべきである」と考える人に取れば、コロナウイルスをきっかけにして消費減税を訴えることは至極合理的なのかもしれないが、少なくともコロナ対策という文脈で今この問題を語るのはあまりに粗雑と言えるのではないだろうか。
厚労省、陽性になったときの業務への影響を考慮し、検査を行わないことを決める
新型コロナウイルスの集団感染が起きているクルーズ船内で業務していた厚生労働省などの職員の多くが、ウイルスの検査を受けずに職場に復帰していたことが分かりました。厚労省内で検査が一度は検討されたものの、陽性者が多く出た場合の業務への影響などを考慮し、見送られたということです。
「陽性者が出たら業務が回らない……」
「ふむ……それなら、検査をしなければいいのでは?」
「そうか!検査をしなければいいんだ!」
「何という天才的発想だ!」
というやり取りがあったかどうかは別にして、これは天才的発想と言ってもいい。確かに検査しなければ陽性にはならない。当たり前の話だ。
大変小さな問題があるとすれば、周りに感染させてしまうかとしれないということだが、業務が回るという大義に比べれば些細なことである。
考えてみれば、いじめ件数を減らすためにいじめがないことにしたり、待機児童をゼロにするために待機児童の定義を変えたり、撤退していないことにするために転身にしたり、我が国にはこういう数値マジックがたくさんある。
しかし、今回のような人名に関わることですら、抜本的解決ではなくそういった小手先の処理をしてごまかしてしまえば、用意にカタストロフィが訪れる、ということは、現場の人間はわかっているはずだ。
これは、ひとえに政治的決断をし責任を取ることのできない政治家の側に問題がある。
「業務が回らない」というのはいいわけで、クルーズ船をめぐる対応のまずさを隠蔽するために検査をしていないのではないか。私にはそう思えてならない。
【新型コロナ】岩田健太郎氏の発信により、ゾーニングなど検疫・隔離に関わる様々な問題点が明らかに
感染症専門医の岩田健太郎氏が、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の検疫の実態を明らかにしたことにより、様々な反応があった。
感染症専門医、岩田氏からの動画による指摘が拡散(現在は削除)
ダイヤモンド・プリンセス号に乗船した感染症専門医 「感染しても不思議じゃない悲惨な状況」
ちょっと短期的にいますが意思決定ができない。厚労省の言うことを聞くイエスマンだけが中にいることを許されます。 https://t.co/vAA3WFkZRf
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月18日
ダイヤモンド プリンセス号に乗り込んで、その余りにも酷い感染症対策を動画で知らせた岩田健太郎に対して、俺の許可を得ないで、勝手に乗り込んでけしからんといったことを、厚労省の橋本岳副大臣がいっていますが、国民の健康より自分の面子が大事な厚労省副大臣って何ですかね。
— 池田清彦 (@IkedaKiyohiko) 2020年2月19日
これで、神戸大の岩田教授が本当に船内に入っていたこと、そして、下船を命じたのは橋本副大臣であることが確定したと思います。あとは、乗船した岩田教授が見た現状の数々が事実であるかどうか、厚労省として説明すべきです。その事実の是非は、その後で結構です。 https://t.co/PublNAHsXR
— 寺田 学 (@teratamanabu) 2020年2月19日
厚労省技官からの事実確認が投稿される
岩田健太郎教授をダイヤモンドプリンセスに招いたと思われる方(高山義浩氏: 厚生労働省の技術参与、感染症医)の説明がFacebookにアップされています。内容の精査は必要ですが、冷静かつ客観的な記述だと感じますので、参考までリンクを貼っておきます。https://t.co/31AoodJGwH
— 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) 2020年2月19日
岩田教授が感染防止のことしか考えてなくていろいろと組織や現場を引っ掻き回したのはおそらく事実なんだろうけど、高山義浩氏のFBからわかることは、その時のクルーズ船内は、おそらく感染防止以外の目的のために組織や現場が運営されていた。
— たりちぱ@・x・@ノ (@tari_tipa) 2020年2月19日
岩田先生と高山先生の説を整理すると実は同じことを言っている。
— 暁のうた (@hitomaroaka) 2020年2月19日
「船内の感染症対策は不十分」だ。
高山先生は、不十分でも現場は頑張っている。岩田先生は、致命的な欠陥が多過ぎる。
対策が不十分なのは両者認めている。
あとは国が万全を期すため支援をする段階にきている#岩田先生#高山先生
高山先生は「実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ」とお書きになっていますができてなかったのは事実でよって感染の危険を強く感じました。派遣前「クルーズ船の中の本部を外に出すようぜひ進言してほしい。私も何度も主張しているのですが」とおっしゃったのが高山先生です
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月20日
橋本厚労副大臣、ゾーニングの実態についてツイートする
https://twitter.com/ga9_h/status/1230317966144630785
この手前(写真撮ってるとこ)が清潔不潔が完全にクロスするゾーンになる、ということがおわかりいただけますでしょうか。 https://t.co/ICBy9nBBYx
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月20日
橋本副大臣を泳がせて船内の写真をバンバン上げさせた方が良いのかもしれない。あの、どう見てもゾーニングされていない清潔ルート&不潔ルートの写真にせよ、本人は大真面目なのだろうが、傍から見れば内部告発にしか見えない真実は、どんどん衆目に晒されるべき。まして死者も出た今となっては尚更。
— 異邦人 (@Narodovlastiye) 2020年2月20日
「清潔ルート」と「不潔ルート」が奥でつながっているように見えるのですが…。
— 神庭亮介 (@kamba_ryosuke) February 20, 2020
「内部告発ありがとうございます」のリプが哀しい。 https://t.co/6ucEM8sAJ8
様々な改善がなされた模様
そもそも自衛隊は、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」号の各種支援に関して、防護区分ごとに厚労省が定めた防護基準よりも安全サイドに立った防護をしてきましたが、防護区画そのものに対する疑念が呈されたため、その虚実は不明ですが、隊員の安全を考慮し、本日より、防護基準を引き上げました。
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2020年2月19日
【教授「船内改善したと聞いた」】https://t.co/WWuuZMa497
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2020年2月20日
クルーズ船内での新型コロナウイルス対策に不備があるなどと指摘する動画をインターネット上で公開した岩田健太郎・神戸大教授が会見。動画を今朝取り下げた理由について「船内の状況が著しく改善されたと聞いた」。
予算委員会でもコロナの議論
【#予算委員会】#大西健介 議員🗣️
— 国民民主党 応援アカウント (@dpfp_follow) 2020年2月20日
「下船された方達が今は陰性でも陽性になる可能性もある。公共交通機関を使って帰宅させて大丈夫なのか?」
「自宅待機をお願いするということはできないのか?」#国民民主党#国会中継#kokkai#新型コロナウィルス pic.twitter.com/uG4WYmfBj6
クルーズ船の感染予防対策 同様ケースの対応検討へ 厚生労働相 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、加藤厚生労働大臣は衆議院予算委員会で、集団感染が起きたクルー https://t.co/arQmMqSx9q
— チャムチャムニュース (@chaaaa001) 2020年2月20日
岩田さんの訴えが100%正しいかはともかくとして、政府や専門家を含め、その指摘そのものが間違っている(対策は万全である)という反論はない。
「根回しもせずにかき回したら現場が混乱し恐怖が煽られる」というのは一理あるものの、岩田氏の指摘のあとにどんどん情報が出てきた結果、クルーズ船の素晴らしいゾーニングについても我々は知ることはできたわけで、とにかく現場が頑張ってるいるんだから批判されないよう情報は隠しておこう、というのは極めて対応としておかしいのである。
この問題は、指揮命令系統の混乱、専門的知見の軽視、「現場が頑張って、すべてベストを尽くしているはずだから外からの指摘は必要ない」といういつもながらの日本的失敗のパターンを踏襲しているように見える。
「日本人はすぐ責任論を言いたがる」という意見があるようだが、
私から見ると、「万事うまく行っている」ことにしたがるプレッシャーから、現場がトライアンドエラーができず、結果として「いい報告を信じた上層部」と「失敗を隠蔽した現場」構造になってしまい、本来責任を取るべき人が責任を取らずに現場が詰腹を切らされる。
こういう構図があるのではないか。
(副)大臣に専門的知見はない。だから、今ゾーニングに無知を晒してしまうのはやむを得ないことだと思う。致命的なのは、橋本副大臣が、ダイヤモンドプリンセスの権益は全く問題ないという報告を何らかの形で受けていたからこそ、投稿したのだろうということだ。
つまり、問題点が何で、それがどのように改善されているのか、そういったことが全くできてないということになる。
現状をしっかりと把握し、治すべきところは治し、結果が出なければ責任を取り、十分でない点を認め、何かあれば自分の首を差し出す。これができないなら、単なる素人が意思決定に関わる意味は欠片もない。大臣・副大臣が責任を取る腹を決めなければ、下は正確な報告もできない。
いずれにせよ、岩田氏の発信により、様々なハレーションが起き、ゾーニングなど様々な問題点が明らかになった。
全員が粛々と頑張っていればなんとかなる、という日本的な神話を捨て、結果にフォーカスして政治を評価するべき時が来ているように思う。
【予算委員会】安倍首相の全日空ホテルを巡る答弁が破綻(N日ぶりN度目)。国会は未知の世界へ
昨日の全日空ホテルを巡る答弁は、ついに一日の答弁の中で論理的な整合性が取れなくなり、大変注目を集める事態となっている。簡単にまとめる。
「この七年間にございません」
辻元清美議員から王手かかりました。「全日空ホテルに文書で問い合わせました」「2013年からの7年間、総理は3回、全日空ホテルで桜を見る会を開催」「宴会・パーティにおいて、見積もりら明細・請求書を発行しなかったケースはありますか?との質問に、〈一件もない〉と、全日空の回答です」。 pic.twitter.com/QQNH6iq5Jg
— 加藤郁美 (@katoikumi) February 17, 2020
辻元清美議員「全日空ホテルからは宛名が空欄の領収書は発行されてないのでは」
— にゃん吉 (@nyankichi_uiy) February 17, 2020
安倍首相「全日空側は宛名無しの領収書を発行した」
辻元議員「ホテルに『主催者が政治家及び政治関連の団体である事から対応を変えたか』と聞いた。ホテル側は【ございません】と回答した」
もう詰んでんじゃん、安倍 pic.twitter.com/5l5ngKZEOk
午前、辻元委員が、ANAインターコンチネンタルホテルへの問い合わせの書面を明らかにした。
- この書面は、明細書は必ず主催者に発行すること
- どのようなケースでも、宛名のない領収書は発行していないこと
- 主催者からもらわず、一人ひとりから会費を集めることはないこと
を明らかにしている。
「辻元議員は一般論」
午後、総理は問い合わせを行い、
安倍さん事務所がホテルに確認したその回答を答弁する場面。ホテルが回答したのは「一般論としてお答えした」という部分だけで、ほとんどは事務所の説明に聞こえる。 pic.twitter.com/VxgiUWhhqZ
— gunswake (@gunswake) February 17, 2020
総理は午前中には「宛名のない領収書を発行したことは間違いない」と主張していたが、午後には「上様、と記載することがあった」と主張を変更した。
しかし、電話での問い合わせに関しては、どのような文脈で回答されたものかわからないため書面での解答を要求。しかし、安倍総理はこれを拒絶し、審議は一時中断するなど大荒れとなった。
衆院予算委
— 但馬問屋 (@wanpakuten) February 17, 2020
小川議員
「辻元議員にホテル側が出したのが『一般論』であり、『個別論』と言うなら、ホテル側に書面でもらって、委員会に提出して」
安倍首相
「書面で出す考えはない。私が責任を持って述べている。信用できないと言って書面を求めるのは要求が強い」
文書主義を知らない行政の長😩 pic.twitter.com/1jUU7DBxn3
「主催者に対して明細書を提示しないケースはない」と明言
安倍首相の「明細書の発行は受けていない」との答弁に関し、「弊ホテルとしては、主催者に対して明細書を提示しないケースはないため、例外はないと理解している」
また、各社の取材に対しても、安倍事務所への回答と国会答弁が違うとの回答が得られている。
ですね。 pic.twitter.com/Q59cy1uEGA
— ルー (@looper_ibi) February 17, 2020
ということで、すでにこの時点で安倍総理は倒れている(答弁不能に陥っている)と考えるのが妥当ではあるが、これまでも論理的、かつ一般常識的に反した答弁を繰り返してきた安倍総理だけに、どのような答弁を繰り出してくるのは、実に注目である。
辻元議員の問い合わせに動揺したのか、電話での問い合わせで「あくまで一般論」「上様と書くことはある」という回答を紹介したものの、冷静に考えればこれらは、「宛名のない領収書は発行していない」「例外はない」と回答されている以上、全く意味がなさない。
反論されることも十分考えられたのに、議事録に残る国会答弁としてはお粗末極まりないものだ。
ちなみにどうでもいいが、昨日の答弁に関しては概ね予想があたった。あたったところでなにか意味があるかと言うと、特に意味はない。
予想
— 平河エリ@読む国会 (@yomu_kokkai) February 17, 2020
「全日空ホテルに特定の会についての領収書発行について、個別の問い合わせに答えることがあるのか、と伺ったところ、個別に答えることはないのと回答を得ました。先程のご回答は安倍事務所についてどうだったのかということについて、の回答ではないと承知をしています」
そんな私がする今後の安倍総理の答弁の予想としては、
- 「すでに答弁しているとおりでございます」
- 「私は色々と忙しいんですよ」
- 「いちいち、書面で出す必要はないわけでありまして」
- 「私があたかも嘘をついているかのような印象操作はやめていただきたい」
- 「私が総理大臣として答弁したことを信じられないなら、議論にならない」
あたりで押し切るのではないか、と考えている。まあそれを押し切っていると呼べるのかは不明だが……。これから行われるのは一般質疑であり、しばらく総理入りの質疑はないだろうが、締めくくり総括質疑までに果たしてどのような答弁が出てくるか、注目だ。