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【国会】共謀罪の審議の現場で、今何が起きているのか? 山尾志桜里 vs 安倍晋三 (衆議院・法務委員会)

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もはや答弁不能な金田大臣

金田勝年法務大臣は、以前より「成案が出来れば答弁する」という答弁を繰り返していたものの、成案を出した段階でも答弁能力に欠けることが明らかになっている。

そこで、法務委員長は刑事局長を国会の場に呼び、答弁させることとした。これは政府委員を廃止した「国会審議活性化法」の趣旨に反するものであり、答弁能力のない法務大臣のもとで共謀罪が審議されることには強い危機感を覚える。

 

山尾志桜里衆院議員

私は共謀罪がテロ対策の役に立たないじゃないか、共謀罪を作ってもテロを撲滅できないじゃないか、という証拠一つ一つを明らかにしようと思って、質問の準備をして参りました。

 

そうしましたところ、本来は質問者の判断で質問者が登録した場合に刑事局長などを登録するというこのルールを無視して、本来公正中立であるべき法務委員長までが数の力で刑事局長を無理矢理呼んで、私は本当にこんなこと聞いたことありませんよ。

 

どれだけこの法案の審議に自信がないんですか、失礼を承知でいますけれども、答弁能力に欠ける法務大臣の発言で、この共謀罪がテロ対策の役に立たないということがバレてしまうことを、どれだけ恐れているんですか。

 

まずはこの言語同断の強行採決でスタートしているということ、そのものがこの法案に政府が自信がないということの証拠だということをお伝えしたいと思います。

 

「そもそも」は「基本的に」?

山尾志桜里衆院議員

一言一句申し上げますね。「前の共謀罪との違いにおいては、まさにここで、そんな組織的なことはなくても、パラパラ集まって『今度やってやろうぜ』というだけでも、これは罪になるわけであります。」

 

組織的でなくてもパラパラあつまって話をしただけで罪になる。これは不等に処罰範囲を広げていることに違いないのではないでしょうか? 

 

 安倍内閣総理大臣

まさに今山尾委員が言われたことが、いま提出させていただいた、277項目に明示的に限ってきた法案との違いであると思っております。

 

私が予算委員会で答弁させていただいたのは、当時は解釈によって組織的犯罪集団というオプションを取っていたわけですが、罪を明示的に書いていなかった。今回は組織的犯罪集団を明確にする中において犯罪の対象を明確に絞ったというわけであります。

 

実際は前回の法案でも絞られるわけでありますが、明示的に絞っていくという発想には至らなかったわけであります。実際には犯罪は同程度絞られていたわけですが、今回は明示的に絞られているわけであります。

 

山尾志桜里衆院議員

総理、言い繕いにもならない言い訳を弄するのは辞めていただきたいと思います。

 

結局対象を絞っているのか絞っていないのかさっぱりわからない。総理は、テロ対策という名目も既に忘れられているのではないだろうか。

 

「そもそも」は「基本的に」?

山尾志桜里衆院議員

今回の共謀罪は、「そもそも犯罪をおかすことを目的にしている集団でなくてはありません。こう言っていたんですね。

 

その後、予算委員会で、「当初オウム真理教は宗教団体でした。それが一変したわけであります。一変した以上それは対象になる」とおっしゃった。

 

「そもそも」発言に基づくと、オウム真理教はそもそも宗教団体でありますから、対象外ですね。でも、一変したら対象になるとおっしゃっている。どちらが正しいんですか?

 

 安倍内閣総理大臣

山尾さんは、そもそもには『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、そもそもという意味には、辞書で調べてみますと、『基本的に』という意味あるということを知っておいて頂きたい。

 

最初からですね、そうでなければ捜査の対象にならないという考え方、そのことが大きな間違えで、基本的に変わったかどうかということにおいて、私はそもそもという表現を使わせて頂いた次第でございます。

 

山尾志桜里衆院議員

今回もですね、詭弁を弄して必死にごまかすわけですけれども、今まさに総理は、自分で調べてみましたと。もし本当に最初から、そもそもは基本的にという意味であると、そしてそもそもというのが初めからという意味で使ってないと、そういうことをわかってたなら、調べる必要ないんですね。

 

「犯罪をなりわいとする集団」?

山尾志桜里衆院議員

総理の矛盾発言ですね。「生業」発言というのがあります。

 

総理自身が、組織的にまさにそれで生計を立てている。「生業に」というのはそういう意味であります、とおっしゃっています。

 

でも一方でオウム真理教のようなものは対処しなくていいんですか、と言うと、オウム真理教は犯罪で生計を立てていただけではなくて他の手段でお金を集めて、その金を使っててテロに及んだというのは、これが実態じゃないですか。 

 

犯罪で生計を立てていた、テロで生業を立てていた、そういうことではないんじゃないですか。総理の論理では、オウム真理教は組織的犯罪集団に当たらず、共謀罪の対象外となってしまいます。  

 

 安倍内閣総理大臣

(長々と関係のない発言をした後)「生業」答弁についてですが、事前に通告していただかないと、文脈でどのような意味で発言したかわからないわけですから、中身のある答弁をしたいのであれば、予め確認をさせていただかなければ答弁は出来ないわけであります。

テロ集団というのはテロそのものをやって行くことにおいてはですね、これにおいてこれを利益とする。こっから利益を上げて生計に足しにすることは出来ないわけであります。

 

その中において、テロ行為を行う集団と、法を犯しながら資金を集めている行為、これが合体するわけであります。

 

その時の答弁について正確な答弁がほしいならですね、簡単なことなんですよ。通告していただければいいんです。

 

山尾志桜里衆院議員

一ヶ月前ですよ。今ここで一言一句読みましょうか?

 

長々と関係のない発言」は本当に関係ない話なので、暇でしょうがない方はご確認頂きたい。

 

キノコは駄目で牡蠣はOK?

山尾志桜里衆院議員

キノコをとっても共謀罪とこういう話がありました。キノコとか竹とかね、山の幸を無許可で取っても、テロ対策の資金源になる。

 

海産物、海の幸を取ったらこれは入ってないんですけれども、なぜ入っていないんでしょうか。

 

もう一ついいましょうか。ここには墳墓発掘死体損壊等っていうのがあります。お墓を荒らして、お墓の中の物を取ると、これ何でテロが予防できるんでしょうか。

 

山尾議員は、最後に「百害あって一利なしだ、と、そういうこともあって、共謀罪の廃案を求めています。総理、答弁から逃げずにしっかり答弁してくださいよ」と延べ、答弁を締めくくった。

 

結局のところ総理の意味不明な答弁は、「前回よりも対象を厳しく絞っている」「テロ対策である」という二つの建前がどちらも建前でしかないことに理由がある。

実質的にはこれは前回の共謀罪と大して変わらないのだが、それに対して詭弁を弄する事であたかもより運用を厳格化したかのような印象を与えようと政府はしており、しかしそうすると本来のテロ対策という建前が崩れてしまうからだ。