日本の腐敗について考える
森友学園を巡る一連の報道は既に収束している。
どうやら、籠池理事長一人が生贄になり全てが幕引きになるらしい。
この問題は、日本が既に腐敗国家になっていることを明らかにした。
大辞泉の解説
ふ‐はい【腐敗】[名](スル)
1 有機物が微生物の作用によって分解され、有毒物質を生じたり悪臭を放つようになったりすること。くさること。→変敗
2 精神が堕落し、悪徳がはびこること。「腐敗した政界」
腐敗国家とは
一つの仮定を置こう。「腐敗国家とは、悪がなされ、それが見過ごされる国家である」とする。
アジアの一部国家には賄賂を渡す文化が未だ根強く残っている。先進国でも賄賂は存在するが、問題はそれが起こることではなくそれが処罰されないことである。
さて、森友学園を巡る手続きには間違いなく瑕疵があった。それはつまり、近畿財務局のずさんな見積もりであり、大阪府の不自然な認可である。
しかし、この間、公には誰ひとりとして謝罪せず、誰一人処罰せず、誰一人瑕疵を認めていない。
佐川理財局長は延々と「確認していないが問題ない」「確認することは控えていきたい」という答弁を繰り返し、安倍総理もそれと重なる答弁を繰り返している。
かつては、少なくとも汚職や腐敗は追求され、メディアもそれをきちんと報じるだけの体力があった。
日本の終わりの始まり
日本の終わりの始まり
日本が腐敗していないという仮定を置くには
- 森友学園を巡る行政の手続きには何ら瑕疵がなかった(少なくとも悪いのは籠池理事長だけだ)
- 森友学園をめぐる行政の手続きには瑕疵があったが適切に対処されている
どちらかのストーリーを描くしか無い。どちらも明らかに現実離れした話だろう。
私は、本件はまさに「日本の終わりの始まり」であると考えている。戦後の日本は経済成長とともに汚職や腐敗などを摘発するだけの民主主義的体制と、メディアを整えてきた。第五の権力と言われ、批判されながらも、一定の役割を果たしてきたといえる。
しかし、日本は既に、そのような腐敗をチェックするだけの国家的体力を失ってしまっている。それはメディアも同じである。経済力がなくなればメディアのちからもなくなるのだ。
経済が発展するために必要なのは公正命題なデュー・プロセスの担保である。逆説的に言えば、発展した経済では汚職は摘発されやすい。逆説的に言えば、途上国ほど政治権力が力を持ち、私物化していくものだ。
参考図書

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/05/24
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (4件) を見る
日本の時計は逆回転する
これからますます日本は発展途上国に戻っていくのだろう。口利きや裁量により仕事が回り、それが指摘されても政府が守ってくれるとすれば、権力が跳梁跋扈しない理由はない。
折しも、習近平主席は腐敗の撲滅を掲げている。経済の発展を盾に腐敗国家からの脱出を目指す中国と、衰退しながら権力だけが肥え太る日本。
今は笑っているかもしれないが、二十年後に同じように笑っていられるとは限らない。
まあ、国家が衰退するというのはこういうことなのかもしれない。