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憲法九条改正は全く不要である

 

日本国憲法第九条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

憲法記念日の今日、安倍晋三総理大臣は、二〇二〇年に憲法を改正する、という意向を表明した。

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本来国民の付託に答えて発議されるべき憲法改正の意向を総理大臣が発するのはさっぱりわからないが、ともあれ安倍総理は悲願である憲法九条を改正できると、意気込んでいるようだ。

しかし、憲法九条というのはそんなに大事なものだろうか?九条が変われば、日本は何か新しく素晴らしい国家へと生まれ変われるのだろうか?

憲法九条は、こう申し上げて適切かわからないが、理念法である。その文面は平和を希求するものであれ、自衛隊の存在を否定していない、というのが政府解釈であり、ほとんどの政党が認めた憲法解釈だ。今現在自衛隊が存在する以上、九条があろうがなかろうが、決して日本の国家の防衛力が変わることはない。

現状で既に自衛隊が存在する以上、憲法九条は現状の防衛力を削ぐものではないはずだ。

 

北朝鮮のミサイルは、九条がなければ撃ち落とせるようになるのだろうか?そんなことは防衛のリアリズムを欠いている。

 

なぜ、日本最大の課題がまるで九条であるような言論が、多くの保守派の方々の口から出てしまうのだろうか?

 

あえて申し上げるなら、日本最大の課題は、重要な憲法の条文が守られていないことにある。

日本国憲法第十四条

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 

未だに日本では、人種差別、女性への不当な取り扱いが終わっていない。男女共同参画社会、という理想はまだ全く実現していないのだ。

 

日本国憲法第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本の貧困は拡大し続けている。長時間労働も決して改められていない。国民全員が「健康で文化的な最低限度の生活」を営めているわけではない。

 

九条の改正で飯が食えるようになるわけではない。そんなことに、何故血道を上げ、人生の課題とばかりに時間と税金を浪費できるのか。そんなことに時間をかけられるほど、日本に時間は残っているのか?

 

2020年、日本の3割は65歳以上になる。

2050年、日本の人口は1億人を切っている。

 

滅びゆく国で、自主防衛だ、自主憲法だと威張ったところで、一体誰が聞いてくれるのだろう?

憲法二十五条に書かれた、「健康で文化的な最低限度の生活」を国家が保証するために、憲法に即した政策を政府が行うこと、それ以上に重要なことはあるのだろうか。

与党も野党も、今すぐ九条改正に関する議論は凍結すべきではないか。

憲法が国家を作るのではない。幸福で健やかで、生活を営む国民が憲法を作り、そしてそれが国家を形成するのだ。

 

憲法記念日こそ、あえて問い直す。我々国民は、九条の改正に時間と税金を使う政府に対し、十四条や二十五条の誠実な履行を求めていく必要があるのではないか。

 

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