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谷脇総務審議官と「Beyond 5G 推進コンソーシアム」の関係性について

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Beyond 5G推進戦略懇談会(第3回)議事要旨

 

Beyond 5G 推進コンソーシアム」というカンファレンスがある。「Beyond 5G」(5Gの次の規格)の推進は菅内閣の基幹戦略の一つであり、同コンソーシアムは産学官の連携でBeyond 5Gを実現する組織体である。

2020年の6月、山田真紀子総務審議官が接待を受けていたその月に、Beyond 5Gの戦略懇談会が開かれており、そこに、総務省の担当として、今回接待を受けていた2人の総務審議官(谷脇氏・山田氏)が出席している。

 

菅内閣において、Beyond 5Gは極めて異例とも言っていいスピード感で進められてきた。今国会において、NICT法(国立研究開発法人情報通信研究機構法)が改正され、NICT基金を通じた助成が幅広く可能となっている。

国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

将来における我が国の経済社会の発展の基盤となるビヨンド5Gの実現に不可欠な革新的な情報通信技術の創出を推進するため、国立研究開発法人情報通信研究機構について、高度通信・放送研究開発に係る助成金交付業務の対象を拡大するとともに、当該業務並びに情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発に関する業務のうち一定の要件を満たすものに要する費用に充てるための基金を設ける必要があります。

武田良太総務大臣 令和3年1月27日 参議院総務委員会

公式ウェブサイトを見ると、このコンソーシアムには基金として300億、テストベッドとして199.7億がNICTを通じて助成され、提供されている。総額、令和3年度の予算額としては499.7億だ。

なぜ500億ではなく、キリの悪い数字なのか気になるが、500億以上の予算については進捗が内閣府のウェブサイトで公表されているため、そういった監査を避ける名目なのかもしれない。

www.jiji.com

 

谷脇総務審議官は、ブログの中で頻繁に「Beyond 5G」について触れている。(ブログは現在非公開になっているが、Internet archive等で確認可能であり、公人のものであるため一部引用する)

27日(水)。夕刻、参議院総務委員会にて行われているNICT法改正法案の審議を視聴。NICTにBeyond 5G研究開発の基金を造成する法案が成立。
「タニワキ日記」2021年2月1日

将来に向けても、Beyond 5G戦略を策定し、これに基づく基金の造成やB5G推進コンソーシアムの設立など、多くの課題に取り組みました。

 「タニワキ日記」2020年12月31日

午後、帝国ホテルにてBeyond 5G推進コンソーシアムの設立総会。大臣から、今後5年間でB5G関連R&Dで1千億円の確保を目指す旨を発表。産学官の連携で今後進めていく。その後も来客数件。夜、特段の予定なく帰宅。

「タニワキ日記」2020年12月28日

谷脇氏は「携帯料金値下げの旗振り役」と各種メディアで報道されているが、Beyond 5Gに関しても、実質的に総務省側の責任者のような立ち位置だった、と考えられる。

Beyond 5Gの研究開発促進事業の資料は、総務省国際戦略局で作られている。山田真紀子前内閣広報官がいた部署であり、同じくNTTから接待を受けていた巻口英司氏が国際戦略局長をつとめている。

総務省においては総合通信基盤局が担当になっているケースもあるが、「海外展開を見据えたBeyond 5Gの展開」ということで、国際戦略局が谷脇ー山田ラインにおいて、実務的には取り仕切っていたと考えられる。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000730265.pdf

 

さて、このBeyond 5G推進コンソーシアムの設立総会の日に、まさに「NTTドコモの新料金プラン」が発表されている。総会に出席していた競合他社の心中は察する他ないが、なかなか絶妙なタイミングだ。

k-tai.watch.impress.co.jp

 

そして、このBeyond 5G推進コンソーシアムの「総合的な戦略を策定する」企画・戦略委員会の副会長と主査は、それぞれNTTドコモ常務執行役員CTOと、NTTドコモ執行役員 ネットワークイノベーション研究所長である。

https://b5g.jp/committee.html

以上は、公開情報においてわかる事実である。

 

 

これ以降は推測になってしまうので、分けて考えていただきたい。

そもそも、民間企業の値段引き下げが事実上総裁選の公約になるという時点で、不思議な話だった。

もちろん、携帯料金が下がれば個人としては嬉しい。しかし、携帯料金が下がれば、その利益によってするはずだった投資はできなくなるため、通信に関する技術革新は起きづらくなり、それはデジタル化・情報インフラの拡充を目指す総務省や菅政権において喜ばしいことではない。

そういう中で考えられたのが、「国民へのおみやげ」として大々的に発表された携帯料金引き下げとセットになって考えられた、ある種の「補填」スキームなのではないだろうか。

 

もちろん研究開発への助成は必要なことである。しかし、それが税による実質的な減収補填であったとすれば、大きな問題ではないだろうか。

以上の推測は間違っているかもしれないが、そもそも高額接待を受けるという外形的な事実から考えれば、同コンソーシアムの設立の経緯に関して、大きな疑念の目が向けられるのは、やむを得ないことであると付記しておく。