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【新型コロナ】岩田健太郎氏の発信により、ゾーニングなど検疫・隔離に関わる様々な問題点が明らかに

感染症専門医の岩田健太郎氏が、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の検疫の実態を明らかにしたことにより、様々な反応があった。

 

感染症専門医、岩田氏からの動画による指摘が拡散(現在は削除)

ダイヤモンド・プリンセス号に乗船した感染症専門医 「感染しても不思議じゃない悲惨な状況」

 

 

 

 

厚労省技官からの事実確認が投稿される

 

 

橋本厚労副大臣、ゾーニングの実態についてツイートする

https://twitter.com/ga9_h/status/1230317966144630785

 

 

様々な改善がなされた模様

 

予算委員会でもコロナの議論

 

岩田さんの訴えが100%正しいかはともかくとして、政府や専門家を含め、その指摘そのものが間違っている(対策は万全である)という反論はない。

「根回しもせずにかき回したら現場が混乱し恐怖が煽られる」というのは一理あるものの、岩田氏の指摘のあとにどんどん情報が出てきた結果、クルーズ船の素晴らしいゾーニングについても我々は知ることはできたわけで、とにかく現場が頑張ってるいるんだから批判されないよう情報は隠しておこう、というのは極めて対応としておかしいのである。

 

この問題は、指揮命令系統の混乱、専門的知見の軽視、「現場が頑張って、すべてベストを尽くしているはずだから外からの指摘は必要ない」といういつもながらの日本的失敗のパターンを踏襲しているように見える。

 

「日本人はすぐ責任論を言いたがる」という意見があるようだが、

私から見ると、「万事うまく行っている」ことにしたがるプレッシャーから、現場がトライアンドエラーができず、結果として「いい報告を信じた上層部」と「失敗を隠蔽した現場」構造になってしまい、本来責任を取るべき人が責任を取らずに現場が詰腹を切らされる。

こういう構図があるのではないか。

 

(副)大臣に専門的知見はない。だから、今ゾーニングに無知を晒してしまうのはやむを得ないことだと思う。致命的なのは、橋本副大臣が、ダイヤモンドプリンセスの権益は全く問題ないという報告を何らかの形で受けていたからこそ、投稿したのだろうということだ。

つまり、問題点が何で、それがどのように改善されているのか、そういったことが全くできてないということになる。

 

現状をしっかりと把握し、治すべきところは治し、結果が出なければ責任を取り、十分でない点を認め、何かあれば自分の首を差し出す。これができないなら、単なる素人が意思決定に関わる意味は欠片もない。大臣・副大臣が責任を取る腹を決めなければ、下は正確な報告もできない。

 

いずれにせよ、岩田氏の発信により、様々なハレーションが起き、ゾーニングなど様々な問題点が明らかになった。

全員が粛々と頑張っていればなんとかなる、という日本的な神話を捨て、結果にフォーカスして政治を評価するべき時が来ているように思う。

 

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  • メディア: 新書