民進党は絶対に解党すべきではない
桜井充参院議員=宮城選挙区、当選4回=は懇談会後、記者団に「全然反省が見えない」と述べ、離党を検討していることを明らかにした。
民進党の解党論が出ている。私は民進党は絶対に解党するべきではないし、解党することもないだろうと考えている。また、民主党政権に在籍していた人間がそのようなことを発言するのもまた、愚かなことだと思っている。
新進党の解党から二十年。日本政治は果たして前に進めたのだろうか。
民主党政権の失敗
民主党政権は失敗した。安倍政権は腐敗したが、民主党政権は失敗した。
もちろん、部分的に評価できる点がないわけではないが、全体としてはそれが国民の評価である。
民進党の支持率が上向かないのも、多くは民主党政権の失敗に起因している。
「支持率が上がらないから民進党は解党すべきだ」というのは、すなわち「民主党政権の失敗を忘れてほしい」というのと同義である。
これほど国民を馬鹿にした話はないのではないだろうか。
民主党政権の経験者が解党を口にする愚
桜井充参院議員は、菅内閣で財務副大臣、野田内閣で厚生労働副大臣を務め、海江田執行部では政調会長を務めた。解党的出直しを口にする原口一博議員は総務大臣だった。
先ごろ離党した長島昭久議員は防衛副大臣を、松本剛明議員は外務大臣まで務めていた。
彼らは間違いなく民主党内閣にいた。だからこそ、民主党政権の失敗に責任がある議員たちだ。
民進党が解党したところで、彼らは議員として残る。「私は議員として無能だから議員辞職します」というならまだ話は理解できるが、政党が変わっても議員が変わらなければ、それはただの看板の架替にすぎない。
「期待が上がらないから解党する」というのは、「過去の失敗を忘れてください」ということでしかないのだ。
政党はただの入れ物である。一回使って汚れたから捨てて新しいのを買い直す。そうすればまた料理の見栄えがするだろう、と考えるのは愚かなことだ。
議員が人であり、政党が議員の入れ物である以上、完璧に素晴らしいオプションなどは存在しない。少しずつ変えていくしかないのだ。
民主党が結党して二十年。ようやく民主党がどういう政党であるかが国民に十分周知されてきたのではないか。
- 連合という労働組合をバックに持つ
- 比較的左派だが、様々な思想の議員が存在する
- 党内議論はオープンだが、議論がまとまらない
- 党内の権力や執行部の求心力は弱い
これが民進党のありのままの姿である。
かつて新進党という政党があったが、新進党も同じであった。新進党を解党した結果、残ったのは新進党から創価学会を抜いただけの政党になってしまった。
日本の野党は「この程度」なのである。実像が理解されたのだ。私は、そのような実像を知ってなお、自民党に代わる選択肢は必要だと思っている。 そして、有権者も、野党に過度な期待を持つこと無く、フラットな視点で、双方の良い点と悪い点を比べるべきであると考えている。
実像が理解されたから再びまやかしの新鮮なイメージを付けるために解党する、というのは時計の針を元に戻す行為だ。そのような政党が政権を握ったところで、ふたたび細川政権や鳩山政権の失敗を繰り返すだけではないか。
政党は連続性と長期展望で成り立つ
一体、たかが一回の選挙に負けただけで解党を口にする議員が考える未来へのヴィジョンとは何なのだろうか。
政治とは、本来50年100年スパンで物事を考え、長期的に必要な政策を行うことが必要である。だからこそ、欧米の主要な政党は長い歴史を持つのである。
労働党はキャラハン首相の敗北から、ブレア首相の誕生まで十四年もかかった。その間にブレアは「第三の道」という政策ヴィジョンを生み出して国民の支持を得た。
その長いブレア政権の間、保守党は苦しみながらも、キャメロンという若きリーダーを生み出し、安定政権を築いた。
当たり前だが、先進民主主義国家では「忘れてくれ」は成り立たない。過去の政権の失敗に責任を持ち、それに対する改善案を出してこそ初めて政権政党となりえるからだ。
自民党も、民主党政権の間、谷垣総裁が地道に組織をまとめ、与党の失敗を追求するという当たり前のことをし、党内で民主的に決まった総裁のもとに総選挙を行い勝利した。
政権政党とはそういうものである。そして、日本はその政権政党を生み出す事ができるのか、それともまた、九十年代のように誰が今どの政党にいるのかもわからないような状態に逆戻りするのか、の分水嶺にいる。
一回の選挙に負けただけで解党だと騒ぎ、党の歴史をなかったことにするような議員が、なぜ天下国家の未来を語れるだろう?
過去に責任を持てないものが未来に責任を持てるはずがない
新党が出来て新しい人材が政界に入るもの悪いことではない。
かつて新党ブームが起きた時には、
- 小池百合子
- 枝野幸男
- 茂木敏充
- 前原誠司
- 野田佳彦
といった、今もなお各政党で活躍する人材を輩出した。細川政権自体の成否は別にして、このように新しい人材が政治に関わるのは決してマイナスばかりではないと考えている。
小泉チルドレン、小沢チルドレンからも、未だしぶとく頑張る議員はいる。新陳代謝は必要である。
しかし、民主党政権の失敗に責任がある議員たちが、まるで新しい政治の始まりであるかのように新党を作るのは滑稽でしかない。
民進党の議員は民主党政権の過去に責任を持たなくてはいけない。その過去に責任を持たずに未来を語る資格はない。
桜井充議員は、昨夏の参院選で「野党共闘」の候補として当選した。日曜日の仙台市長選の当確の瞬間、郡和子氏のすぐ後ろの目立つ位置でカメラに映っていた。目立ちたがり屋という点で、維新系議員と共通するものを感じる。離党するにしても、野党共闘の枠組みから外れるのであれば、背信行為になる。 pic.twitter.com/kDoEXdUW4X
— 神子島慶洋⊿ (@kgssazen) 2017年7月25日
聞きましたけど、何言ってんだ、という感じですね。今の体制が選挙に対応できないという最もらしい理由だけども、こういうタイミングでこういうことをちらつかせる党所属議員がいたら、前向きな話はできないし、有権者に信用される言葉をまとめて発信できるわけがない、と思いますね。 https://t.co/3XbsIbGPYG
— くろかわしげる (@kurokawashigeru) 2017年7月25日
"桜井氏は発言後に両院懇を中座し、「都議選の総括文書を読む限り、全然反省は見えない」と記者団に対しても執行部批判を繰り返した。"
— Mew Mew Panic (@sartrean) 2017年7月25日
党の行く末を左右する大事な会議を中座して、マスコミに悪口を言いふらすって、相当やばいと思う。https://t.co/DugqRxIOP7
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