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ロナルド・レーガン、アメリカ大統領史上に残る最強の演説家

Tear Down This Wall(この壁を打ち壊しましょう)

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We welcome change and openness; for we believe that freedom and security go together, that the advance of human liberty can only strengthen the cause of world peace.

我々は変化と開放を歓迎します。 自由と安全は共に、世界をより平和にすると信じています。

 

There is one sign the Soviets can make that would be unmistakable, that would advance dramatically the cause of freedom and peace.

ソビエトが、自由と平和のために出来ることが一つあるのです。

 

General Secretary Gorbachev, if you seek peace, if you seek prosperity for the Soviet Union and eastern Europe, if you seek liberalization, come here to this gate.

ゴルバチョフ書記長。平和を求めるならば、ソ連と東ヨーロッパの繁栄を求めるなら、自由を求めるならば、この門の前に来てください。

 

Mr. Gorbachev, open this gate. 

ミスター・ゴルバチョフ、この門を開いてください。

 

Mr. Gorbachev, tear down this wall!

ミスター・ゴルバチョフ、この壁を打ち壊すのです。

レーガンの最も有名なスピーチはこれだろう。 

 

アメリカ最強の演説家

歴史に残るパワースピーカー

アメリカ大統領の中から、歴代の名演説家を三人上げるとすれば…。おそらくリンカーンは入るだろう。後は誰だろうか。オバマ、ケネディ?

しかし、たった一人だけ上げるとすれば?と言う問いならば、ロナルド・レーガンの名前を上げる人が最も多いのではないだろうか、と思う。

冒頭に貼ったのは、最も有名な "Tear Down This Wall" スピーチである。声の抑揚、語り口、全てが演説としては完璧ではないだろうか。

 

戦後最強の大統領

レーガンという人は、戦後アメリカ大統領としては最強の大統領である。

ハリウッドのB級俳優はカリフォルニア知事になった後、史上最高齢の大統領になった。1984年の大統領選挙ではウォルター・モンデールに史上空前の圧勝。り、暗殺事件をもくぐり抜けて、支持率は最後まで衰えることがなかった。

レーガンという人は、あ失わゆくアメリカを体現しているような人だった。まるで、B級西部劇の世界から抜け出してきたように。粗野で、男らしく、保守的で、「強い男」であった。

そして、その支持率を支えたのが、彼のスピーチである。

 

どんな時も忘れないユーモア

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ご存知のように、ソビエト連邦で車を手に入れるには10年かかります。 そのために、事前にお金を払っておくのです。

 

ある男がいて、お金を払ったんです。担当者は彼に言いました。

「オッケー。じゃあ10年後に来て、車を受け取ってください」

 

 男は答えました。

「朝か午後、どちらですか?」

 

カウンターの後ろから、別の担当者がいいました。

「10年後だぜ。どっちだっていいだろ」

 

 そして、彼は言いました。

「朝は配管工が来るんです」

レーガンの政策を支持するかは別にして、彼が最もウィットに富んだ大統領であったことに同意しない人はいないだろう。

何しろ、自分が銃撃されたときですら、執刀する医師に「君が共和党員であることを祈るよ」と言ったのだから。

彼は常にユーモアを忘れず、どんな時も明るかった。

 

人の心を打つ名演説家、それがレーガン

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チャレンジャー号の爆発事故、というアメリカ史に残る悲劇に際して、レーガンのスピーチは、多くの人の悲しみに寄り添いながら、隊員を賞賛する素晴らしいものだった。

On this day three hundred and ninety years ago, the great explorer Sir Francis Drake died aboard ship off the coast of Panama.

390年前のまさにこの日、偉大な探検家であるサー・フランシス・ドレイクは、パナマの海で亡くなりました。

 

In his lifetime the great frontiers were the oceans, and a historian later said, "He lived by the sea, died on it, and was buried in it"

彼の時代、最大のフロンティアは海でした。後に歴史家は「彼は海で生き、海で死に、海で埋葬された」と語りました。

 

Well, today, we can say of the Challenger crew: Their dedication was, like Drake's, complete.

今日、チャレンジャー号のクルーは、ドレイクのように、その献身を終えました。

 

The crew of the space shuttle Challenger honored us by the manner in which they lived their lives.

彼らは、その生き方によって我々に名誉を授けたのです。

 

We will never forget them, nor the last time we saw them, this morning, as they prepared for their journey and waved goodbye and "slipped the surly bonds of earth" to "touch the face of God."

私達は決して忘れないでしょう。私達が最後に彼らを見たときのことを。旅の支度をして、手を降って別れを告げ、この無愛想な惑星から滑り落ち、神の御顔に触れたことを。

 

日本語訳でレーガンについてのわかりやすい書籍はこれくらいだろうか。よくまとまっている。

レーガン いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)

レーガン いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)

 

レーガンのような大統領は、もう二度と現れないのかもしれない。経済での失政は後に双子の赤字として尾を引くのだが、それは些細な事だ。冷戦という困難な時期だからこそ、必要とされ、愛された大統領だった、と言えるだろう。

トランプがレーガンを目指そうとしても無駄だろう、彼は特別な男で、特別な大統領だった。