#国会流行語大賞2020 投票結果を発表します!(※結果発表という認識ではない)
皆様、「#国会流行語大賞2020」にご参加いただきありがとうございました!
なんとなんと、958票もの投票をいただきました。趣旨に批判的なコメントを除いても、おそらく900票を超える投票となります。
たくさんの方にご参加いただきましたことに感謝いたします。
それでは、おまたせしてしまいましたが、結果発表となります!
結果発表
第5位(39票)「女性はいくらでもうそをつける」(杉田水脈衆院議員)
杉田水脈衆院議員の発言が5位となりました。これまで度々女性差別・民族差別的な発言などで批判を浴びてきた杉田衆院議員ですが、今回の発言は当初「言っていない」などと発言した後、正式に謝罪することなくブログで「どうやら言っていたようだ」と軌道修正するなどちぐはぐなものが目立ちました。
杉田水脈議員は自民党の比例選出議員であり、このような発言を繰り返してきた議員を「党の代表」として選んだ自民党の体質も問題とされています。
また、女性議員がまだまだ少ない日本の議会において「女性を批判する女性」の役割を負わされているのではないか、という構造的な問題も指摘されました。
頂いたコメント(一部)
- 緊急事態下における国民やマイノリティを力づけようとする野党議員の名言も少なくない年でしたが、それを上回る勢いで与党議員の迷言が悪い意味で全ての感情をさらっていったのがとても残念です。
- 自民党のミソジニーを再確認させてくれた酷い言葉でした。。。
- この方には誰も勝てない。自民党がこの方を優遇するのが信じられない。自民党の体質を表すこの言葉で。
- 流行語といいますか、話題にもなり、風化させてはならないフレーズだと思ったので杉田水脈氏の発言に投票したいと思います。
第4位(53票)「国会会議録というのは、国会と国民に示された条文解釈そのものです」(田村智子共産党政策委員長)
共産党田村智子議員の発言が、国会クラスタの熱い支持を受けて4位となりました。この答弁は、日本学術会議問題に伴う政府答弁に対して、吐露するように述べられたものです。
政府は中曽根総理が「任命は形式的なもの」と度々述べていたにもかかわらず「必ずそうしなければならないものではない」とという答弁を繰り返す政府は、国会という機関を破壊しているも同然です。
これまで様々な形で不適切な国会との向き合い方が取り上げられてきましたが、日本学術会議法に係る対応は「過去の答弁との整合性を無視する」という点で罪深く、その点も考慮して、多くの方が投票されたのではないでしょうか。
頂いたコメント(一部)
- 「議会」の本質をワンフレーズに!この間延々と軽くなり続けてきた「言葉」と「論理」を取り戻すような、とても倫理的な言葉に、背筋が伸びました。
- まだ国会の存在意義を信じたくなる発言でした。答弁作成に関わったことがある身として、心に刻みたい。
- 「議事録・記録の意味」を簡潔に示した名言
- 安倍さんの珍発言に投票したくなる気持ちはありますが、数々のどうしようもない発言ばかりの中で立法府における議論の価値を高らかに掲げる田村智子さんの言葉に一票を投じたいと思います
- ひとつに決められなく。。すごく迷いましたが、田村智子さんの名言に投じました。 議場が汚されていくの見てて辛いです😢
- 法制局ふくめた政府の詭弁にくさびを打つこの締めくくりの一言、痺れました。
- 迷言、珍言を投票すべきかとも思いましたが、まともな言葉が2020国会にもあったのだということを覚えていたいので、投票します。
第3位(56票)「意味のない質問だよ」(安倍晋三前総理大臣)
首相が自席からつぶやいた野次が3位となりました。
辻元清美さんの質疑の中で「鯛は頭から腐る」という発言に激高してこのヤジとなったようで、その後の質疑でも「罵詈雑言を浴びせられた」などとヒートアップ。
しかし、「鯛は頭から腐る」自体は単なる格言であり、その前の辻元さんの質疑も論理的なものだったため、何に対して激高したのかは未だによくわかりません。
ともあれ、安倍総理の国会軽視、議会運営の拙さが明白になった言葉ではなかったかと思います。
ちなみに、「鯛は頭から腐る」は27票入っていました。足すと2位になります。
頂いたコメント(一部)
- レベル高すぎて選ぶの難しいです!その中でも、立場上言ってはいかん性質のもので頂点を極めてしまった「意味のない質問」に1票いれました。
- 質疑を軽視する(当時)現職の総理大臣のこの発言に思わず失笑してしまいました。
- ずいぶん迷いましたが、流行語ということで「意味のない質問だよ」(安倍晋三前総理大臣)」を選びました。名言として辻元さんの鯛の頭も選びたかった。
- 前政権の国会軽視の姿勢を象徴する発言ということで、これにしました。
- こうやってリストアップされると安倍前総理の国会における存在感の大きさを感じずにはいられません。
- 意味が有るから質問しているのでは?これが出たら議論にならない。
- 「意味のない答弁だよ」と言ってあげたいですね。
第2位(78票)「例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものではありません」(安倍晋三前総理大臣)
安倍総理といえば「一言で言えば責任」という言葉を思い浮かべる方も多いと思います。第二次政権でも度々「責任」という言葉を口にし、説明責任や結果責任を取る、とお話されてきました。
ところが、ことコロナ対策について問われれば「責任を取ればいいものではない」とのご発言。あれほど口にしていた安倍総理にとっての「責任」とは何だったのか、考えさせられます。安倍総理の政治姿勢を象徴し、堂々の2位ランクインです。
頂いたコメント(一部)
- 一国の"総理大臣"として何の気概も責任感もないのだなということを改めてしみじみと感じさせてくれました。
- 安倍内閣や安倍氏本人の無責任さがこの発言に凝縮されています。
- ずっと責任は私にあると言い続けのらりくらりしてきた人の〆のこの一言。この人はレベチだと改めて再認識した。
- 安倍前首相は本当に何も責任を取らなかったなあと改めて実感。
- 責任とは何か、責任を取るということはどういうことか、考えさせられる
- 無責任内閣、これ極まれりな発言だなと。この言葉通り、何一つ責任を取りませんでしたが。
- いわばまさに大賞であると、私は考える次第であります
第1位(289票)「幅広く募っているという認識でした。募集しているという認識ではなかった」(安倍晋三総理大臣)
約3分の1の得票を得て圧勝したのは、「募っているが募集ではない」でした。一文だけでわかる「安倍ワールド」や、インパクトの強さで覚えていた方も多かったのでしょう。
結局「募集」と「募る」の違いも誰も理解しないまま安倍総理は退陣してしまいました。
意味不明な発言やひどい発言はかつても多数ありましたが、理解不能な発言をされたまま、その意味が誰も理解できなかったという現象は、憲政史上なかったのではないでしょうか。
他を寄せ付けない圧倒的な強さで終始独走し、 見事今年の大賞を獲得しました!
振り返ると、3位から1位まですべてが安倍総理の発言。2020年は名実ともに「安倍総理」の年でした。
願わくば、2021年には新たな珍言ではなく、より議会政治の本質に迫った名言が多数選ばれてほしいものです。
頂いたコメント(一部)
- 「募っているが募集していない」は大喜利にもなって面白かった。まさかその後に検察が本人聴取に動くとは思いませんでしたが……
- 国会クラスタのみなさんがいなければ、どんな議論が行われているか興味を持っていませんでした。そして、実際にやり取りを見て驚きました。こんなに非論理的なんだと。それを象徴する一言(のうちのひとつ)を選びました。
- 「詭弁とは何か?」を、現役総理大臣が、国会の場で、小学生でも分かる形で身をもって示されたものとして、後世に残すべきであると考えたからです
- 言論の府の崩壊ぶりを示す候補の中でも特に衝撃的でした。一方でこのような人を選んでいるのは国民。その現実にも悲しみを覚えます。
- 政治家の方は頭脳明晰かつ冷静沈着に物事を判断していると信じきっていた私が、暇さえあれば国会を見るきっかけになった迷言です。
- 来年は、国会で日本語が通じるようにしてほしい。
- 色々ありましたが募ってはいたが募集しているという認識はなかったに勝るインパクトのあるものはないかなと。当時国会見ながらのけぞって変な声が出ました
- 国会流行語大賞の候補の発言集を見ていると、安倍前首相関連の発言が多いので「国会は『安倍劇場』だな。」という印象を持ちました。
- 1票を投票したという認識でした。票を投じたという認識ではなかった
全結果
全部の結果はこちらからご覧いただけます。よろしければご覧ください。
番外編
選考委員長賞(踊❤ウタマロ賞)
「急に亡くなられ……辞められちゃったんで」(桜田義孝元オリンピック担当大臣)
理由は「(テレビ局の)期待を裏切らないから」とのことです。
候補に入れなかった発言について
ネガティブな反応もたくさんいただきました。多くは「中立ではない」「選考が偏向している」という趣旨です。
そういった趣旨でしょうか。下記2つの発言について、その他欄などで沢山の投票をいただきました。
もちろん、「流行語大賞」であり、この2つの言葉がある種の界隈で流行しなかった、とは言えません。
だからといって、「今年の10大ニュース」に「トランプ大統領再選」を入れることが出来ないのと同じように、デマや曲解によって拡散されたものを、無批判に取り上げないことは書き手としての責任だと思います。
下記に、なぜそもそも選考に入れていなかったかについて理由を説明します。
28票「時間が余ればコロナもやります」(福山哲郎参院議員)
会派の中の時間割の話です。普通に午前の質疑はコロナのこと聞いてるんですよね。
「もともと、最初の予算委員会で、与えられた質疑時間は30分。私は9時からの質疑で、11時半までの2時間半、マスクの備蓄や検査の問題など、全てをコロナの質問に充てた。当該発言は、2回目の質疑のとき。最初にコロナのことをやったあと、残りの時間を『桜』に充てた。
『時間が余れば』というのは、『その日に限られた時間の中で』という意味。前の質問で全てをコロナに充てたものだから、『時間があれば』というのは『もっと時間があればコロナも桜もやりたい』ということ。コロナウイルスを軽んじたつもりはまったくなかった」
「立憲民主党はコロナを軽視して桜ばかりだ!」という批判は、(少なくともこの質疑を根拠にしてするのは)不適切です。
少し調べればわかることですので、明らかに答弁の背景を歪曲していると判断します。
8票「時代はサーバーよりクラウド」(蓮舫参院議員)
これについては、まずやり取りを読んで頂くといいかと思います(一部抜粋)。
蓮舫議員 マイナンバーカードを持っている人の十人に一人がアクセスをしただけで、集中してサーバーが障害を起こす。全国民の僅か二%の申請でシステム障害が出るというのは、これ仕方ないことなんですか。
高市大臣 これからかなり増えていくだろうということで、このサーバーを増やさせていただくことにいたしました。これを第二次補正予算に計上しております。
蓮舫議員 いやいや、サーバー増やせば問題が改善するんじゃないんですよ。問題は何だったという報告を受けていますか。
高市大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。あのときはサーバーの最大値まで能力を増強したということで乗り切って解消をしたんですけれども、一時的にこのオンライン申請、受付開始後にアクセスが集中したということでございます。
蓮舫 いいですか、e―Taxの場合には、個人千百四十万件の申請に対してサーバーのキャパシティーは二千二百万人、これ当たり前ですよ。だって、この夏に四千万カード普及を目指すとしているのに、二百万の申請だけでアクセス集中でサーバーにシステム障害が起きる。三千三百億使っているんですよ。
(中略)
高市大臣 十分にここは、どういうところで処理能力は弱かったのかということで、具体的に、サーバーの増強台数につきましても、電子証明書情報を作成するためのRAサーバーですね、これを現在四台ですが十二台にさせていただく、電子証明書の作成などを行うCAサーバー、現在二台ですけれども六台に増強させていただくということでこの金額になっております。
蓮舫議員 サーバーは増やすんじゃなくて、時代はもうクラウドなんですよ。だから、これまでの積み上げてきたもののベンダーの継ぎはしのシステムじゃなくて、本当に問題がどこにあるかというのを確認をして、それで予算付けをするなら分かるけれども、言われたがまんまにお金を支払う。税金は限りがある。
蓮舫議員 大臣、これ、しっかり機構の人を呼んで確認をして、そして本質的な改善策を講じていただきたいと改めてお願いをいたします。なぜなら、この機構は、システム独占だけじゃなくて、マイナンバーカード発行も独占しているんですよ。
蓮舫議員は抜本的なシステムの見直しを主張しているのであって、「サーバーとクラウドが違うものである」ということを言っているわけでは有りません。
政府はクラウドを基本とする方針を掲げていて、その根拠として「効率性・セキュリティ・技術革新・柔軟性・可用性」の5つを上げています。
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/cloud_%20policy.pdf
3000億円かけたシステムが少ない負荷で落ちてしまい、対策が「サーバー増やします」だけなら、「サーバーの台数だけの問題じゃないですよね?システム見直しませんか?」と聞くのは、文脈としておかしくありません。
クラウドがあらゆるケースで正しいわけではありません(プラットフォームにロックインしてしまうリスクや、海外企業に情報を預けることの是非、レイテンシなど)し、蓮舫議員が正しいことを言っているかどうか、ということを論じるつもりはありません。
しかし、「ITを何も知らない議員が馬鹿な発言をした」というような形で取り上げるのは適切ではないと判断します。
結びに
中立性というのは基準を明確にすることであり、お互いの意見を単に併記することではありません。改めてきちんと基準を説明させていただきました。
表彰式は唐揚げを増やすなど対応した上で会費5000円で開催する予定でしたが、残念ながらコロナ下ですので自粛させていただきます。
ともあれ、ご参加いただいた皆様も、横目で眺めていた皆様も、ありがとうございました。2021年もやるかもしれません(やらないかも)。良いお年を!