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意外と珍しくない? 世界の「与党・共産党」

世界では、与党になっている共産党もいくつかある

日本の共産党といえば、「確かな野党」というイメージが強いかもしれないが、世界で見ると、与党となって閣僚を送り込む共産党・共産主義系政党も少なくない。

 

イタリア

オリーブの木とダレマ内閣

マッシモ・ダレマ

Presidency of the Italian Republic [Attribution], via Wikimedia Commons

 

かつて、西側最大の共産党勢力は、イタリア共産党だった。

イタリア共産党は改称して左翼民主党となり、その後「オリーブの木」構想によって左翼の大同団結の機運が高まり、巨大な左翼連合が誕生することになった。この時首相に就任したのがマッシモ・ダレマである。

オリーブの木は、後の民主党の礎を築くことになった。

プローディ内閣

ブローディ

Presidency of the Italian Republic [Attribution], via Wikimedia Commons

 

プローディ内閣では、下記のように多くの共産系政党が与党連合を組んだ。

  • 民主党(旧共産党)
  • 共産主義再建党
  • イタリア共産主義者党
  • イタリア急進主義者

旧共産党系の民主党が中核となっただけではなく、上のように、教条主義左派である共産主義再建党すら連立政権入りした。

(残念ながらすぐに瓦解してしまったが)

現在も続くイタリア民主党政権

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5c/Presidente_Napolitano.jpg/200px-Presidente_Napolitano.jpg

Presidency of the Italian Republic [Attribution], via Wikimedia Commons

 

2006年にはイタリア共産党出身で、議員団長を務めたジョルジョ・ナポリターノが大統領に就任。強い支持を得て二期を務めた。

現在の首相はマッテオ・レンティであり、第一党は民主党である。共産党の末裔である民主党が未だに政権与党であるのは、西側では異例のことだろう。 

 

インド

マンモハン・シン政権

マンモハン・シン

By World Economic Forum [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

インドでは、マンモハン・シン政権を支えるためにインド共産党とインド共産党(マルクス主義派)などを中心とする左翼戦線が閣外協力をしていた。マルクス主義派、と名乗る中では世界でも最大の政党ではないか?

現在でも一定の勢力を保持しており、国民会議と人民党の間でキャスティングボードを握ることも多い。 

 

ブラジル

ジルマ・ルセフ政権

ジルマ・ルセフ

By Roberto Stuckert Filho/Presidência da República (Agência Brasil) [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

大統領を罷免されたことでブラジルを大混乱に陥れたジルマ・ルセフ政権だが、ブラジルの与党・労働党は共産党と共同歩調を取っており、共産党はルセフ政権でも閣内に党員を送り込んでいた。 

アルト・レベーロ科学技術大臣

アルト・レベーロ

By Antonio Cruz/ABr (Agência Brasil [1]) [CC BY 3.0 br], via Wikimedia Commons

共産党のレベーロ氏は一時は大統領代行に就任していた。

 

キプロス

フリストフィアス

Kremlin.ru [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

キプロスでは、マルクス・レーニン主義政党である労働人民進歩党が合法的選挙によって与党第一党になったことがある。

その際に大統領だったのが、ディミトリス・フリストフィアスだ。彼はソ連時代のモスクワ留学までした無神論者で、欧州では異例のことだった。

フリストフィアスは金融危機に際し、稚拙な対応で経済を悪化させ、退陣することとなった。

まとめ

www.sankei.com

民進党の細野豪志衆院議員は以前、下記のように述べられていた。

共産党との選挙協力について「米国の方々は民進党が共産党と協力をするというと違和感を持つかもしれないが、共産党と政権をともにすることはあり得ない」と強調した。

しかし、共産党が与党に閣内・閣外協力するケースは各国で存在する。それらの国で民主主義が放棄されていることはない。 

共産党が躍進し、野党第一党の民進党が苦戦する中、ファクトに基づいた冷静な議論が必要なのではないだろうか。