矛盾しながら腐敗し続ける日本政府
一つの仮定を置こう。「腐敗国家とは、悪がなされ、それが見過ごされる国家である」とする。
私は以前このようなことを書いた。この気持は今も変わっていない。
加計学園をめぐる問題
誰もが文書が本物だと分かっているにも関わらず、調査が全くなされない。怪文書だと決めつけて告発者の醜聞を流す。告発者は保護しない。調査をするとなっても、内閣府は調査しない。
誰もが見ても無理のある答弁を文科省はし続けされられている。たった一人、総理大臣の発言の整合性を守るためだけに。これが今の日本政府の現状だ。
問題を解決する方法はたったひとつ、安倍総理が素直に自身の関与について認めるしか無い。しかし、それができないばかりに、日本の国会議員と全ての官僚組織が破綻し矛盾した答弁をし続けさせられているのだ。
#加計学園
— ⓢⓐⓘⓣⓞ (@kentaro_s1980) 2017年6月9日
歴史に残るだろうな。
森ゆうこ議員と藤原審議官の質疑。
森ゆうこ
「あなたは会ったんでしょ、会ってないんですか、イエスかノーかですよ。嘘つかないでください。」
藤原
「自分がお会いしたかどうかも含めて、今治市との面談は確認できておりません。」(モーニングショー) pic.twitter.com/RY2rkxcTdy
政府の対応
この問題は、当初より政府が一切調査をしない異様な問題であった。時系列を精査するとおおむねこのようになる。
- 加計学園に関して国会で話題になる(共産党、ついで民進党が答弁をする)
- 「総理のご意向」と書かれた文書が内部より流出する
- 政府は否定し、(行政文書でないから存在するはずもない)共有フォルダだけを調査する
- 菅官房長官が「怪文書みたいな」と発言する
- 前川氏が文春のインタビューに応じる
- 発売直前、前川氏に関する醜聞が読売新聞に乗る
- 現役の官僚が文書の実在を証言する
- 義家文化副大臣が公益通報者保護法にあたらないことを証言する
この間に政府がやったことは、こういうことだ。
- 「怪文書だから一切調査はする必要」
- 「(当初存在しないとしていた)文書の実在を証言した元官僚のプライベートを大手マスメディア(首相が読めと推薦した)にリークする」
- 「その記事を読み、元官僚について官房長官が批判する」
- 「複数の内部告発が出ると、(当初存在しないとしていた)文書を流出させたことに対する処分の可能性に言及する」
https://t.co/5R3R2RzD2g
— キャオ@大阪トホホ団亡者戯 (@tohohodan) 2017年6月13日
森ゆうこ
「再調査は犯人探しで罰を与えるためという話も出てる。公益通報者の権利を守る意識はあるか」
「守るって言えないんですか」
「この件に関して報復の動きがあったら許さない。国民のために働こうとした国家公務員を守るために戦います」
「マスコミではなく、直接私の所に届けてくれれば」などと義家大臣はおっしゃっているが、これで届けろというのはバカげた話だ。
報ステ 来た 6/8 森ゆうこ議員、加計疑惑追及。「現役の文科省職員が命懸けで告発している。局長、部下を見捨てるんですか?」 義家副大臣「マスコミではなく、直接私の所に届けてくれれば」 森「信用されてないから届けないんですよ!握り潰されると思っているから届けないんですよ!」 pic.twitter.com/7erXM9t2Dr
— Koji (@kwave526) 2017年6月8日
民主主義国家であり続ける限り
さて、私は一貫して何回も何回も書いているのは、
- 個人に関しては推定無罪を適用すべきだが、政府は、情報公開と疑惑への調査の義務がある
- 義務が存在する以上、調査や情報公開をしない場合、それは都合が悪いからであり疑惑は真実とみなす他無い
- 個人のプライベートな問題は情報の信憑性に何ら影響しないし、そんなことを社会面で書いた読売も、言及する官房長官も一線を越えている
ということだ。こんなことは、民主主義国家であれば当然至極のことでしかない。
ここに同意できないのであれば、中華人民共和国にでも住んで政府の発表だけ読んでいればいい。
民主主義は主権を持つ我々が、権力を委託する先を選ぶことが前提になっているわけで、軍事情報や外交機密を除けば、透明性の担保は大原則だ。
だから、それが担保されていないということは、それは政府にとって都合の悪い情報であると考える他無いのだ。
だから、都合が良かろうが悪かろうが、自民党支持だろうが公明党支持だろうが民進党支持だろうが共産党支持だろうが、日本が今後も民主主義国家で有り続けたいと考えるのであれば、情報公開には賛同しなくてはいけない。
政府が意図的に情報をコントロールできるのは、共産主義などの非民主国家である。なぜなら、情報の透明性こそが、独裁国家、非民主国家の政権を支えるセンターピンだからだ。
しかし、残念なことに、このようなことにすら、「加計学園はそもそも問題ではない」とする人もいる。その点については上の記事に書いた。
今後の展開と個人的な意見
今後の展開
おそらく、調査を行った以上、文書の実在は証明されるだろう。次に来るのは「そんなことに時間を使うな」「政治主導だから問題ない」など、問題の否定である。
しかし、例え加計学園問題が取るに足らない問題であったとしても、実在する文書を「怪文書だから存在しない」とし、政府一丸となって調査を拒み、情報を公開せず、隠蔽したという事実は残る。
これは、とんでもなく大きな問題なのだ。
民主党政権をめぐる問題
この間、この問題について様々なブックマークコメントがあった。否定的なコメントから強く感じたのは、「民主党政権はひどかった。だから民主党政権に二度と政権を渡してはいけない。だからどんなことであれ、野党の得点になるようなことは認めてはいけないのだ」という信念だ。
民主党政権に様々な問題があったことは否定できない。
しかし、現実的に考えれば別に安倍総理が辞めたから民進党が選挙に勝てるわけではあるまい。岸田外務大臣や石破茂議員が総理の座を引き継ぐだけである。
仮に民主党政権が最悪だったにせよ、それを引きずりおろしたのは、情報の透明性が存在したからだ。
例えば松本龍復興大臣の「オフレコ」発言をリークした新聞社があった。あるいは、尖閣漁船事件での、内部告発があった。
仮に安倍総理が史上最高の総理大臣で、民主党政権が史上最悪の政府だったとしても、政府が嘘をつくのはいけないことなのだ。
そんなことを許していたら、今後さらに最悪の政府が来たとしても、我々は真実を知り、辞めさせることができなくなる。
政府に求めること
政府は情報公開と徹底した調査をしなくてはいけない。もし文書の実在が真実であったとすれば、それを「怪文書であり実在しない、調査もする必要がない」とした内閣は然るべき形で責任を取るべきだ。
それがもし出来なかったら、我々は未来永劫、政府に向けて「都合の悪い情報は隠してもいい」というお墨付きを与えることになる。
将来に、そんな日本を残してはいけない。
ソ連時代、KGBの職員2人が世間話をしていた。
一人目の職員「なあ、今の政権についてどう思う?」
二人目の職員「率直に言えば、君と同じ感想だ。」
一人目の職員「そうか。悪いが同志、君を逮捕する。」