日本青年会議所の「メディアリテラシー向上アカウント」は、Twitterの政治広告なのか
Twitter Japanが日本青年会議所と提携し、「リテラシーとモラル」を教育させていくためのパートナーシップを結んだ、というニュースがネットで取り上げられた。
実はこのアカウント、なぜかフォロワー数が50くらいしかないころから公式認定されていて、最初に見かけたときにちょっとびっくりした。大きめの広告出稿でもあるのだろうか、と思っていたら今回の提携が発表された。
Twitter が発表
情報・メディアリテラシーの確立に向け、日本青年会議所とTwitter Japanはパートナーシップ協定を締結しました。全国に広がる日本青年会議所のネットワークと発信力を通じて、Twitterの公共の場での会話の健全性・公開性がさらに向上することを期待しています。https://t.co/joihoXDZTX— Twitter 政治 (@TwitterGovJP) 2020年2月10日
アカウント開始早々、「○○が発狂」というツイートをRT
リテラシーとモラルを理解するために有用であるとTwitter japan社がリコメンドするアカウント見に行ったら、最初に出てくるのが、個人を「発狂」なる言葉で非難する投稿のRTだった。 https://t.co/9na1OkZJSj pic.twitter.com/umPCL0vAvc— 荻上チキ (@torakare) February 10, 2020
Twitter Japanから公認されたのは、いつの間にか勝手に付いてた公認マーク以来だ。今度は狂人認定だけど。間接的にではあるが、公認されたことだし、明日から狂ったツイートをガンガン繰り出していきたい。
— 津田大介 (@tsuda) February 10, 2020
その後軌道修正?
とか言ってるうちに当該RT一部を取り消して、エクスキューズ的に毎日新聞「も」RTした模様。勢いでリツイートして取り消すとか、めっちゃ「やらかし事案」として、授業で分析される側じゃないですかー。 pic.twitter.com/A04TwUIOgd
— 荻上チキ (@torakare) February 10, 2020
今見たら個人アカウントのフォローも切って、報道の公式アカウントをちゃんとフォローしてるやん!長足の進歩でしょこれ!
— 森村廣 (@hiromu_morimura) February 11, 2020
政治広告 or not
私がどうにもわからないのは、高須院長と産経ニュースをRTしかしていないこのアカウントが(高須さんや産経新聞が悪いわけじゃないけど)一体どのようにメディアリテラシーの向上に役に立つのか、Twitterから何の報告もないことだ。
普通こういったパートナーシップは、すでに存在するコンテンツがメディアリテラシーのために有益であるという前提のもとに行われるもので、ピカピカの新品アカウントを「これからつぶやくのでフォローしてください」というのはかなり異例ではないか。
つまり、メディアリテラシー(これ自体も何を意味しているのか不明だが)を高めるために、すでにそういった活動をされていることが知られている団体をパートナーに選ぶべきである。
個人的に思いつく唯一の解答は、これが広告出稿やブランディングと結びついたキャンペーンの一環である、というものだ。
しかし、今回Twitterは「Twitter 政治」というアカウントを持って「フォローしてください」とまで主張しているわけで、もしかりにこれが何らかのビジネス的判断であるなら、昨年Twitterが政治広告を禁止したこととの整合性が取れないのではないか。
Twitterが正式に政治広告を禁止 | TechCrunch Japan
もちろん日本青年会議所を一概に批判するものではなく、現役JC(支部によってカラーが全然違う)の方でお世話になっている方はたくさんいる。
が、日本青年会議所が、メディアリテラシーや報道の公平性目的とした団体ではなく、その中核となる思想信条はかなり明確に保守系とつながっていることもまた、事実だ。
いずれにせよ、オフィシャルなパートナーシップである以上、Twitter社はより詳しい説明をする必要がある。今のところ我々が学べたのは、どうやら当該アカウントの担当者は、まだまだメディアリテラシーについて学ぶべきことがある、ということくらいだ。