国会のアーカイブを見ながら、文字通りひっくり返りそうになった総理答弁があった。質問に対して延々答えずに自説を述べ続ける、この答弁の模様を確認するには実際に見ていただくのが最も良いと思う。
今回は、あえて総理答弁を書き起こした上で可視化する。
登場人物
今井雅人衆院議員
- 岐阜県選出の衆院議員。2009年初当選の「政権交代組」
- 元・維新の党幹事長として、おおさか維新とのゴタゴタを経験
- 通称「マット今井」株式投資に詳しい
安倍晋三総理大臣
- 友達に優しい
衆議院・今井雅人議員の安倍総理に対する質問
答弁内容のカラーリング
安倍総理の答弁内容について
野次への反応(赤)
野党や民主党政権への批判(青)
自画自賛(緑)
質問への回答(太字)
と言う形で色付けする。
今井議員の質問
今井雅人議員 総理、戦略特区の案件ですよね。国家戦略特区の諮問会議の議長は安倍総理です。安倍総理がこの疑惑を払拭するために全部調べろと一言言っていただければ、事の真相は明らかになります。ぜひ、文科省にもう一度これを調べろと、総理のご決断で調査をしていただきたい。
安倍総理の答弁
安倍晋三総理 まず、今井議員の前提が間違っているんですよ。この問題の本質はですね、岩盤規制をいかにして穴を開けていくかということですよ。
皆さん、野次はですね、私ども誠意を持って、宮崎さんも野次はやめてください。西村さんも野次をやめていただきますか?国民の皆さん、こうやってね、私が答弁しようとすると、野次で妨害するんですよ。それはぜひ、ぜひやめていただきたい。時間がないんですから、もう野次るのはやめましょうよ。お互いに。そこでですね、お答えをしますが、まず岩盤規制をですね、突破していくというのはね、いかに困難な課題であるかというのは、みなさんもよくご承知のとおりなんだろうと思いますよ。これはですね、安倍政権がいきなり取り上げた問題ではないんですよ。
第一次…今「出た」とおっしゃった(今井議員の発言)けど、これ言われるのはよっぽど嫌なんだろうと思うんですが、安倍政権の時にはですね、安倍政権の時にはですね、この申請はいわば受け付けてもいないんですよ。
福田政権のときにですね、この課題をいわば受け取った、これ構造改革特区のときですね。しかし、対応不可で来たものですね、民主党政権になって、鳩山政権のときに、対応するということを決めたわけであります。
更に、二十二年までに結論を出すということだったわけであります。それをですね、安倍政権の時にですね、国家戦略特区と言う形で対応するということを決めたわけであります。宮崎さん笑われましたがね、私が今誠意を持って答弁しているわけですから、今私はファクトを申し上げているわけであります。
その中においてですね、まさにこの仕組みというのは国家戦略諮問会議でしっかりと、きっちりと議論をすることになっているんですよ。
そこでですね、このように恣意的なものがはいっているということに対して、民間委員の皆さんは大変怒っているわけですよ。正々堂々たる一点の曇もない議論をしてきたのに、言わば総理の議論で決められたのごとく言われるのは憤懣やるかたない、明確にこう委員の皆さんがおっしゃっているわけであります。
この議事録も公開をされていますから、そこをしっかりと、そこをちゃんと読んでからご質問いただきたいと思う次第であります。
ここでですね、私の意向というのは入りようがないというわけであります。そこで決まったもの、加計学園ありきで安倍政権がやったということをおっしゃったわけですが、言わば加計学園ということを前提に民主党政権は課題として検討するということに、加計学園ということが書いてありますよ、皆さん。文章の中に書いてあるんですよ、今治というところとともに。安倍政権になってから、それありきではなくて、愛媛県・今治市という二つに変えたわけでありまして、今治市も公募に変えたという経緯があるわけです。
そうしたものを一切お触れにならずに、延々とこういう議論をされるのは、極めて私は不適切ではないか。それは皆さん、普通一般には印象操作というわけであります。
それと、文部科学省がどう対応しているかということについては、文部科学大臣が答弁したとおりでございます。
(ここまで約三分半)
質問に答えられない安倍総理
「文科省にもう一度これを調べろと、総理のご決断で調査をしていただきたい。」
「文部科学省がどう対応しているかということについては、文部科学大臣が答弁したとおりでございます。」
十秒程度のやりとりで可能な答弁を、個々まで引き伸ばす。これで果たして国会は充実した真偽が可能なのだろうか?
質問に答えられない安倍総理
「切り取り」「印象操作」とおっしゃられる方も居るだろうが、殆どの答弁がこんな感じだ。質問に答えない、延々語り続ける。 野次に反応し、民主党政権を批判し、自画自賛を挟み込み、最後に申し訳程度に質問に答える。
だから、委員長にも何度も注意される。これも異例のことである。
この一つのやり取りに、安倍政権の「国会に真摯に向き合わない」という姿勢が如実に現れているのではないだろうか。
この記事も「印象操作」なのだろうか。そう思われる方は、ぜひ実際の動画をご覧頂くことをおすすめしたい。